山羊飼いクセートゥラ
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/12/08 13:46 UTC 版)
「クセートゥラ」の記事における「山羊飼いクセートゥラ」の解説
クセートゥラは、ゾティーク大陸の東の果て、キンコルの地に住む山羊飼いである。ある夏、遠出した折に谷の洞窟に入ると、肥沃な平原へと出る。未知の土地に困惑しつつも、木から果実をもいで食べる。黒甲冑の巨人が2人おり、クセートゥラは彼らがこの苑の衛兵であると察し、見つからないように息を潜める。そうしているうちに、どういうわけか、自分が山羊飼いクセートゥラではなく、別人であるような気がしてくるではないか。突然閃光に襲われたことで、クセートゥラは通って来た洞窟を逃げ帰る。帰路についたクセートゥラは、自分は山羊飼いのクセートゥラであることを忘れ、カリュズ国の王アメロになっていた。口調が変わり、人格が変貌した甥の様子に、伯父ポルノスは困惑する。ポルノスは、魔物に化かされたのだと説き、タサイドンの庭園に侵入して果実を盗んで食べた者には呪いがふりかかることを説明する。クセートゥラはカリュズの場所を尋ねるも、ポルノスは甥の気が狂れてしまったと嘆くばかり。 クセートゥラは伯父の家を飛び出し、失った王国を求めて旅に出る。まず近くの村に寄ったところ、クセートゥラを知る皆は、若者の振舞を狂人のたわごとと呆れる。そうしてクセートゥラは、長い間ゾティーク中をさまよい歩く。どこに行っても、王国のことを尋ねると妙な視線を返され、あからさまに笑う者もいれば、皮肉を込めて旅を祝する者もいた。カリュズから来た旅人に出会うこともない。 ついにカリュズの首都シャタイルの情報を得るも、向かった先には、長い年月を経て荒廃し切った宮殿があった。新たに来た若者の前に、業病の者たちが集まって来る。クセートゥラが己がカリュズ王であると自己紹介すると、彼らは「われらこそがカリュズの王だ」「ここには他の土地から追放されたわれらのような者のほかには誰も住まぬ」「王が一人増えたところで変わらぬ。好きに名乗るがよい」と返答する。そこに黒甲冑の戦士が現れ、クセートゥラを見下ろしてくる。同時に山羊飼いだったときの記憶が戻り、彼の中ではアメロ王の誇りとクセートゥラの記憶がせめぎ合う。タサイドンの使者は、前世の記憶が果実を食べたことで蘇ったのだと説明する。アメロには玉座も王国もなく、クセートゥラはかつて王であったことを忘れられず素朴な山羊飼いだった己を取り戻すこともできない。嘆くクセートゥラに、影は魂をタサイドンに捧げると約束するよう持ち掛ける。
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