小説における反ユダヤ主義
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「フョードル・ドストエフスキー」の記事における「小説における反ユダヤ主義」の解説
ドストエフスキーは小説でもユダヤ人を描写する際には、反ユダヤ主義的な表現を用いた。『死の家の記録』(1862年)では、ゴーゴリのユダヤ人描写を模して、ユダヤ人徒刑囚ブムシュテインを「羽をむしられた鶏」として滑稽に描いた。なお、この「羽をむしられた鶏」としてのユダヤ人のイメージは、シチェドリンの『ペテルブルグのある田舎者の日記』や、チェーホフの『広野』、バーベリの『騎兵隊』(1926年)でも描かれた。 『悪霊』(1872年)では、改宗ユダヤ人リャームシンは政治活動家による暗殺に加わるが、最初に警察に犯行と共犯者を自白する臆病者として描かれる。 ただし、この小説ではユダヤ人だけが貶められているわけではない。 『未成年』(1875年)の主人公は欧州の大金融業者ロスチャイルド家を目指す。 小説『カラマーゾフの兄弟』(1880年)では、肉欲と物欲の権化であるフョードルがユダヤ人が多く住むオデッサでユダヤ人によって金を稼いで貯め込む才覚を磨いたとし、このユダヤ人は金貸し業者であったとされる。また儀式殺人で快楽を引き出すユダヤ人について描写した。 ドストエフスキーはユダヤ人による儀式殺人について、V・ダーリ『ユダヤ人によるキリスト教徒少年殺害とその血の利用について』(1844年)、リュスタンスキー『ユダヤ人セクトが宗教的目的でキリスト教徒の血を利用する問題について』(1876年)、フヴォリソン『ユダヤ人はキリスト教徒の血を用いるか』(1879年)などを読んでいた。
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