小さな犯罪者とは? わかりやすく解説

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小さな犯罪者

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2025/04/30 04:21 UTC 版)

『小さな犯罪者』
ランディ・ニューマンスタジオ・アルバム
リリース
録音
ジャンル ロック
時間
レーベル ワーナー・ブラザースリプリーズ
プロデュース レニー・ワロンカー、ラス・タイトルマン
ランディ・ニューマン アルバム 年表
Good Old Boys
(1974年)
Little Criminals
(1977年)
Born Again
(1979年)
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小さな犯罪者』(Little Criminals)は、アメリカ合衆国シンガーソングライターランディ・ニューマンの5作目となるスタジオ・アルバムである。

ニューマンの他の多くの作品と同様、本作は既存のポップス音楽に共通するテーマを避け(ラヴ・ソングは「I’ll Be Home」1曲しかない)、風変わりな登場人物と皮肉交じりな視点によって音楽によるストーリーテリングを展開する。アルバム冒頭の楽曲「ショート・ピープル」は全米2位を記録した。アルバムは米国のBillboard 200チャートにおいて最高位9位を記録しており、これはニューマンのアルバムでは現時点では最高の成績である。

概要

本作の演奏とバック・ボーカルの一部は、イーグルスのメンバーが担当している。具体的には、グレン・フライが2曲でギターを、ジョー・ウォルシュが3曲でギターを弾いているのを始め、ドン・ヘンリーティモシー・B・シュミットがそれぞれ1曲ずつバック・ボーカルで参加している。フライとJ.D.サウザーはかつてロングブランチ・ペニーホイッスルというデュオで活動していたが、この2人が3曲でバック・ボーカルを務めている。

ニューマンは全曲を作詞作曲し、指揮とキーボードも担当している。シンセサイザーはマイケル・ボディカーがプログラミングを担当した。

1977年9月、イギリスの音楽誌『NME』が掲載したインタビューの中で、ニューマンは本作について皮肉を交えて以下の通り語っている:

子ども殺しの歌が収録されています。それはかなり楽観的なものです。多分ね。「Jolly Coppers on Parade」という曲がありますが、これは反警察の歌という訳でもありません。もしかすると、これはファシストの歌かもしれません。この時点で私は気づいていなかったのです。「Rider in the Rain」は私がカウボーイになっています。馬鹿げていると思いますよ。この曲はイーグルスが参加しています。この作品のいいところですね。「Short People」という曲もあります。これは単なる冗談なんですよ。私はアルバムの他の曲の方が好きですが、聴き手はこの曲が好きなんです[2]

「Baltimore」は、ニーナ・シモン、ニルス・ロフグレン、ザ・タムリンズ、デヴィッド・グレイ、ビリー・マッケンジー、リアン・ラ・ハヴァス、ジャズミン・サリヴァンミンク・ストールらによってカバーされている。「In Germany Before the War」はイギリスのバンド、ディーゼル・パーク・ウエストが1992年のカバー・アルバム『God Only Knows』で取り上げている他、マリアンヌ・フェイスフルも2009年のアルバム『イージー・カム・イージー・ゴー』でカバーしている。一方、「I’ll Be Home」は本作以前にニューマンによって書かれ、元々はハリー・ニルソンが1970年にレコーディングして彼のアルバム『ランディ・ニューマンを歌う』に収録された。続いてティム・ハーディンがレコーディングし、彼の1972年のアルバム『ペインテッド・ヘッド』に収録された。

アルバム・ジャケットのアートワークはボブ・セイドマン撮影のランディ・ニューマンのポートレートである。この写真はロサンゼルスの金融街に位置するウェスト・セヴンス・ストリートから州間高速道路110号線を見下ろす場所にニューマンが立っている姿を捉えている。

評価

専門評論家によるレビュー
レビュー・スコア
出典 評価
AllMusic [3]
The Encyclopedia of Popular Music [4]
Rolling Stone [5]
The Village Voice B+[6]

ニューヨーク・タイムズは、『小さな犯罪者』は口頭の洒落に相当するものを音楽で実現したニューマンの初めてのアルバムであるとの見解を示した[7]レコード・ワールドは次のコメントをしている。「Baltimore」は真面目で、「Short People」は滑稽だ。本作の印象に残るメロディーと劇的な歌詞は聴くものの心を捉えて離さない[8]。本作は1977年のパズ&ジョップ・クリティックス・ポールの8位にランクインし[9]、そして2000年には本作はコリン・ラーキンの「市場最高の1000枚のアルバム」の468位に選出されている[10]

収録曲

[11]

Side One
全作詞・作曲: Randy Newman。
# タイトル 作詞 作曲・編曲 時間
1. Short Peopleショート・ピープル)」 Randy Newman Randy Newman
2. You Can't Fool the Fat Man太った奴を馬鹿にはできない)」 Randy Newman Randy Newman
3. Little Criminals小さな犯罪者)」 Randy Newman Randy Newman
4. Texas Girl at the Funeral of Her Fatherテキサス娘)」 Randy Newman Randy Newman
5. Jolly Coppers on Paradeジョリー・コッパーズ・オン・パレード)」 Randy Newman Randy Newman
6. In Germany Before the War嵐の前のドイツにて)」 Randy Newman Randy Newman
Side Two
# タイトル 作詞 作曲・編曲 時間
7. Sigmund Freud's Impersonation of Albert Einstein in Americaフロイトによるアインシュタインの物真似)」    
8. Baltimoreボルチモア)」    
9. I'll Be Homeアイル・ビー・ホーム)」    
10. Rider in the Rainライダー・イン・ザ・レイン)」    
11. Kathleen (Catholicism Made Easier)キャサリーン)」    
12. Old Man on the Farm年老いし農夫)」    

参加者クレジット

  1. 「ショート・ピープル」
  2. 「太った奴を馬鹿にはできない」
    • ウィリー・ウィークス (Willie Weeks) - ベース
    • ミルト・ホランド (Milt Holland) - コンガ
    • アンディ・ニューマーク (Andy Newmark) - ドラムス
  3. 「小さな犯罪者」
    • ウィリー・ウィークス (Willie Weeks) - ベース
    • アンディ・ニューマーク (Andy Newmark) - ドラムス
    • リック・マロッタ (Rick Marotta) - ドラムス
    • グレン・フライ (Glenn Frey) - ギター
    • ジョー・ウォルシュ (Joe Walsh) - ギター、スライド・ギター
    • ミルト・ホランド (Milt Holland) - パーカッション
  4. 「テキサス娘」
    • ラルフ・グリアソン (Ralph Grierson) - ピアノ
  5. 「ジョリー・コッパーズ・オン・パレード 」
    • クラウス・フォアマン (Klaus Voormann) - ベース
    • ミルト・ホランド (Milt Holland) - コンガ
    • ジム・ケルトナー (Jim Keltner) - ドラムス、テンプル・ブロック
    • ワディ・ワクテル (Waddy Wachtel) - ギター
  6. 「嵐の前のドイツにて」
    • 参加者記載なし
  7. 「フロイトによるアインシュタインの物真似」
    • ウィリー・ウィークス (Willie Weeks) - ベース
    • ジム・ケルトナー (Jim Keltner) - ドラムス
  8. 「ボルチモア」
    • グレン・フライ (Glenn Frey) - バック・ボーカル
    • J.D.サウザー (JD Souther) - バック・ボーカル
    • ウィリー・ウィークス (Willie Weeks) - ベース
    • アンディ・ニューマーク (Andy Newmark) - ドラムス
    • リック・マロッタ (Rick Marotta) - ドラムス
    • グレン・フライ (Glenn Frey) - ギター
    • ミルト・ホランド (Milt Holland) - パーカッション
  9. 「アイル・ビー・ホーム」
    • クラウス・フォアマン (Klaus Voormann) - ベース
    • ジム・ケルトナー (Jim Keltner) - ドラムス
    • ワディ・ワクテル (Waddy Wachtel) - ギター
  10. 「ライダー・イン・ザ・レイン」
    • ドン・ヘンリー (Don Henley) - バック・ボーカル
    • グレン・フライ (Glenn Frey) - バック・ボーカル
    • J.D.サウザー (JD Souther) - バック・ボーカル
    • ウィリー・ウィークス (Willie Weeks) - ベース
    • リック・マロッタ (Rick Marotta) - ドラムス
    • ワディ・ワクテル (Waddy Wachtel) - ギター
  11. 「キャサリーン」
    • ウィリー・ウィークス (Willie Weeks) - ベース
    • リック・マロッタ (Rick Marotta) - ドラムス
    • ジョー・ウォルシュ (Joe Walsh) - ギター
    • ライ・クーダー (Ry Cooder) - マンドリン
  12. 「年老いし農夫」
    • ランディ・ニューマン (Randy Newman) - ピアノ
テクニカル
  • リー・ハーシュバーグ (Lee Herschberg) - エンジニア
  • ロイド・クリフト (Loyd Clifft) - エンジニア
  • マイク・サリスベリー (Mike Salisbury) - 表紙デザイン
  • ボブ・セイドマン (Bob Seidemann) - 表紙写真(1013 7th Street, Los Angeles, California)[12]

チャート

売り上げと受賞

小さな犯罪者』の売上数認定
国/地域 認定 認定/売上数
カナダ (Music Canada)[21] Gold 50,000^
オランダ (NVPI)[22] Gold 50,000^
アメリカ合衆国 (RIAA)[23] Gold 500,000^

^ 認定のみに基づく出荷枚数

脚注

  1. ^ 『Guilty: 30 Years of Randy Newman』(1998年)ライナーノーツ
  2. ^ Tobler, John (1992). NME Rock 'N' Roll Years (1st ed.). ロンドン: Reed International Books Ltd. p. 304. CN 5585 
  3. ^ AllMusic review
  4. ^ Larkin, Colin (2007). The Encyclopedia of Popular Music (4th ed.). Oxford University Press. ISBN 978-0195313734 
  5. ^ Rolling Stone review
  6. ^ Christgau, Robert (1977年10月31日). “Christgau's Consumer Guide”. The Village Voice (ニューヨーク). http://www.robertchristgau.com/xg/cg/cgv11-77.php 2013年4月29日閲覧。 
  7. ^ Maslin, Janet (1977年9月25日). “Randy Newman: The Moral Is Implicit”. The New York Times: p. 96  {{cite news}}: |access-date=を指定する場合、|url=も指定してください。 (説明)
  8. ^ “Hits of the Week”. Record World: 1. (1978-03-25). https://worldradiohistory.com/Archive-All-Music/Record-World/70s/78/RW-1978-03-25.pdf 2023年2月15日閲覧。. 
  9. ^ Christgau, Robert (1978年1月23日). “The 1977 Pazz & Jop Critics Poll”. The Village Voice (ニューヨーク). https://www.robertchristgau.com/xg/pnj/pjres77.php 2020年4月16日閲覧。 
  10. ^ Colin Larkin (2000). All Time Top 1000 Albums (3rd ed.). Virgin Books. p. 167. ISBN 0-7535-0493-6 
  11. ^ Randy Newman / ランディ・ニューマン「小さな犯罪者」” (Japanese). Warner Music Japan. 2025年2月17日閲覧。
  12. ^ Musical Maps”. 2025年2月17日閲覧。
  13. ^ Kent, David (1993). Australian Chart Book 1970–1992 (illustrated ed.). St Ives, N.S.W.: Australian Chart Book. p. 216. ISBN 0-646-11917-6 
  14. ^ RPM Top 100 Albums - March 4, 1978”. 2025年2月17日閲覧。
  15. ^ "Dutchcharts.nl – Randy Newman – Little Criminals" (in Dutch). Hung Medien. 2021年10月29日閲覧。
  16. ^ "Charts.org.nz – Randy Newman – Little Criminals". Hung Medien. 2021年10月29日閲覧。
  17. ^ "Randy Newman Chart History (Billboard 200)". Billboard. 2021年10月29日閲覧。
  18. ^ Jaaroverzichten – Album 1977”. dutchcharts.nl. 2021年10月29日閲覧。
  19. ^ RPM Top 100 Albums of '78 - December 30, 1978”. 2025年2月18日閲覧。
  20. ^ “Top Billboard 200 Albums – Year-End 1978”. Billboard. https://www.billboard.com/charts/year-end/1978/top-billboard-200-albums 2021年10月29日閲覧。. 
  21. ^ "Canadian album certifications – Randy Newman – Little Criminals". Music Canada. 2023年6月1日閲覧
  22. ^ "Dutch album certifications – Randy Newman – Little Criminals" (Dutch). Nederlandse Vereniging van Producenten en Importeurs van beeld- en geluidsdragers. 2022年7月16日閲覧 Enter Little Criminals in the "Artiest of titel" box. Select 1978 in the drop-down menu saying "Alle jaargangen".
  23. ^ "American album certifications – Randy Newman – Little Criminals". Recording Industry Association of America. 2023年6月1日閲覧



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