小さな犯罪者
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2025/04/30 04:21 UTC 版)
『小さな犯罪者』 | ||||
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ランディ・ニューマン の スタジオ・アルバム | ||||
リリース | ||||
録音 |
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ジャンル | ロック | |||
時間 | ||||
レーベル | ワーナー・ブラザース、リプリーズ | |||
プロデュース | レニー・ワロンカー、ラス・タイトルマン | |||
ランディ・ニューマン アルバム 年表 | ||||
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『小さな犯罪者』(Little Criminals)は、アメリカ合衆国のシンガーソングライター、ランディ・ニューマンの5作目となるスタジオ・アルバムである。
ニューマンの他の多くの作品と同様、本作は既存のポップス音楽に共通するテーマを避け(ラヴ・ソングは「I’ll Be Home」1曲しかない)、風変わりな登場人物と皮肉交じりな視点によって音楽によるストーリーテリングを展開する。アルバム冒頭の楽曲「ショート・ピープル」は全米2位を記録した。アルバムは米国のBillboard 200チャートにおいて最高位9位を記録しており、これはニューマンのアルバムでは現時点では最高の成績である。
概要
本作の演奏とバック・ボーカルの一部は、イーグルスのメンバーが担当している。具体的には、グレン・フライが2曲でギターを、ジョー・ウォルシュが3曲でギターを弾いているのを始め、ドン・ヘンリーとティモシー・B・シュミットがそれぞれ1曲ずつバック・ボーカルで参加している。フライとJ.D.サウザーはかつてロングブランチ・ペニーホイッスルというデュオで活動していたが、この2人が3曲でバック・ボーカルを務めている。
ニューマンは全曲を作詞作曲し、指揮とキーボードも担当している。シンセサイザーはマイケル・ボディカーがプログラミングを担当した。
1977年9月、イギリスの音楽誌『NME』が掲載したインタビューの中で、ニューマンは本作について皮肉を交えて以下の通り語っている:
子ども殺しの歌が収録されています。それはかなり楽観的なものです。多分ね。「Jolly Coppers on Parade」という曲がありますが、これは反警察の歌という訳でもありません。もしかすると、これはファシストの歌かもしれません。この時点で私は気づいていなかったのです。「Rider in the Rain」は私がカウボーイになっています。馬鹿げていると思いますよ。この曲はイーグルスが参加しています。この作品のいいところですね。「Short People」という曲もあります。これは単なる冗談なんですよ。私はアルバムの他の曲の方が好きですが、聴き手はこの曲が好きなんです[2]。
「Baltimore」は、ニーナ・シモン、ニルス・ロフグレン、ザ・タムリンズ、デヴィッド・グレイ、ビリー・マッケンジー、リアン・ラ・ハヴァス、ジャズミン・サリヴァン、ミンク・ストールらによってカバーされている。「In Germany Before the War」はイギリスのバンド、ディーゼル・パーク・ウエストが1992年のカバー・アルバム『God Only Knows』で取り上げている他、マリアンヌ・フェイスフルも2009年のアルバム『イージー・カム・イージー・ゴー』でカバーしている。一方、「I’ll Be Home」は本作以前にニューマンによって書かれ、元々はハリー・ニルソンが1970年にレコーディングして彼のアルバム『ランディ・ニューマンを歌う』に収録された。続いてティム・ハーディンがレコーディングし、彼の1972年のアルバム『ペインテッド・ヘッド』に収録された。
アルバム・ジャケットのアートワークはボブ・セイドマン撮影のランディ・ニューマンのポートレートである。この写真はロサンゼルスの金融街に位置するウェスト・セヴンス・ストリートから州間高速道路110号線を見下ろす場所にニューマンが立っている姿を捉えている。
評価
専門評論家によるレビュー | |
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レビュー・スコア | |
出典 | 評価 |
AllMusic | ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() |
The Encyclopedia of Popular Music | ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() |
Rolling Stone | ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() |
The Village Voice | B+[6] |
ニューヨーク・タイムズは、『小さな犯罪者』は口頭の洒落に相当するものを音楽で実現したニューマンの初めてのアルバムであるとの見解を示した[7]。レコード・ワールドは次のコメントをしている。「Baltimore」は真面目で、「Short People」は滑稽だ。本作の印象に残るメロディーと劇的な歌詞は聴くものの心を捉えて離さない[8]。本作は1977年のパズ&ジョップ・クリティックス・ポールの8位にランクインし[9]、そして2000年には本作はコリン・ラーキンの「市場最高の1000枚のアルバム」の468位に選出されている[10]。
収録曲
全作詞・作曲: Randy Newman。 | ||
# | タイトル | 時間 |
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1. | 「Short People(ショート・ピープル)」 | |
2. | 「You Can't Fool the Fat Man(太った奴を馬鹿にはできない)」 | |
3. | 「Little Criminals(小さな犯罪者)」 | |
4. | 「Texas Girl at the Funeral of Her Father(テキサス娘)」 | |
5. | 「Jolly Coppers on Parade(ジョリー・コッパーズ・オン・パレード)」 | |
6. | 「In Germany Before the War(嵐の前のドイツにて)」 |
# | タイトル | 時間 |
---|---|---|
7. | 「Sigmund Freud's Impersonation of Albert Einstein in America(フロイトによるアインシュタインの物真似)」 | |
8. | 「Baltimore(ボルチモア)」 | |
9. | 「I'll Be Home(アイル・ビー・ホーム)」 | |
10. | 「Rider in the Rain(ライダー・イン・ザ・レイン)」 | |
11. | 「Kathleen (Catholicism Made Easier)(キャサリーン)」 | |
12. | 「Old Man on the Farm(年老いし農夫)」 |
参加者クレジット
- ランディ・ニューマン (Randy Newman) - ボーカル、キーボード、シンセサイザー
- マイケル・ボディカー (Michael Boddicker) - 追加のシンセサイザーとシンセサイザー・プログラミング
- 「ショート・ピープル」
- グレン・フライ (Glenn Frey) - バック・ボーカル
- J.D.サウザー (JD Souther) - バック・ボーカル
- ティモシー・B・シュミット (Timothy B. Schmit) - バック・ボーカル
- クラウス・フォアマン (Klaus Voormann) - ベース
- ミルト・ホランド (Milt Holland) - コンガ
- ジム・ケルトナー (Jim Keltner) - ドラムス
- ワディ・ワクテル (Waddy Wachtel) - ギター
- 「太った奴を馬鹿にはできない」
- ウィリー・ウィークス (Willie Weeks) - ベース
- ミルト・ホランド (Milt Holland) - コンガ
- アンディ・ニューマーク (Andy Newmark) - ドラムス
- 「小さな犯罪者」
- 「テキサス娘」
- ラルフ・グリアソン (Ralph Grierson) - ピアノ
- 「ジョリー・コッパーズ・オン・パレード 」
- クラウス・フォアマン (Klaus Voormann) - ベース
- ミルト・ホランド (Milt Holland) - コンガ
- ジム・ケルトナー (Jim Keltner) - ドラムス、テンプル・ブロック
- ワディ・ワクテル (Waddy Wachtel) - ギター
- 「嵐の前のドイツにて」
- 参加者記載なし
- 「フロイトによるアインシュタインの物真似」
- ウィリー・ウィークス (Willie Weeks) - ベース
- ジム・ケルトナー (Jim Keltner) - ドラムス
- 「ボルチモア」
- グレン・フライ (Glenn Frey) - バック・ボーカル
- J.D.サウザー (JD Souther) - バック・ボーカル
- ウィリー・ウィークス (Willie Weeks) - ベース
- アンディ・ニューマーク (Andy Newmark) - ドラムス
- リック・マロッタ (Rick Marotta) - ドラムス
- グレン・フライ (Glenn Frey) - ギター
- ミルト・ホランド (Milt Holland) - パーカッション
- 「アイル・ビー・ホーム」
- クラウス・フォアマン (Klaus Voormann) - ベース
- ジム・ケルトナー (Jim Keltner) - ドラムス
- ワディ・ワクテル (Waddy Wachtel) - ギター
- 「ライダー・イン・ザ・レイン」
- ドン・ヘンリー (Don Henley) - バック・ボーカル
- グレン・フライ (Glenn Frey) - バック・ボーカル
- J.D.サウザー (JD Souther) - バック・ボーカル
- ウィリー・ウィークス (Willie Weeks) - ベース
- リック・マロッタ (Rick Marotta) - ドラムス
- ワディ・ワクテル (Waddy Wachtel) - ギター
- 「キャサリーン」
- 「年老いし農夫」
- ランディ・ニューマン (Randy Newman) - ピアノ
- テクニカル
- リー・ハーシュバーグ (Lee Herschberg) - エンジニア
- ロイド・クリフト (Loyd Clifft) - エンジニア
- マイク・サリスベリー (Mike Salisbury) - 表紙デザイン
- ボブ・セイドマン (Bob Seidemann) - 表紙写真(1013 7th Street, Los Angeles, California)[12]
チャート
ウィークリー・チャート
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年末チャート
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売り上げと受賞
国/地域 | 認定 | 認定/売上数 |
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カナダ (Music Canada)[21] | Gold | 50,000^ |
オランダ (NVPI)[22] | Gold | 50,000^ |
アメリカ合衆国 (RIAA)[23] | Gold | 500,000^ |
^ 認定のみに基づく出荷枚数 |
脚注
- ^ 『Guilty: 30 Years of Randy Newman』(1998年)ライナーノーツ
- ^ Tobler, John (1992). NME Rock 'N' Roll Years (1st ed.). ロンドン: Reed International Books Ltd. p. 304. CN 5585
- ^ AllMusic review
- ^ Larkin, Colin (2007). The Encyclopedia of Popular Music (4th ed.). Oxford University Press. ISBN 978-0195313734
- ^ Rolling Stone review
- ^ Christgau, Robert (1977年10月31日). “Christgau's Consumer Guide”. The Village Voice (ニューヨーク) 2013年4月29日閲覧。
- ^ Maslin, Janet (1977年9月25日). “Randy Newman: The Moral Is Implicit”. The New York Times: p. 96
{{cite news}}
:|access-date=
を指定する場合、|url=
も指定してください。 (説明)⚠ - ^ “Hits of the Week”. Record World: 1. (1978-03-25) 2023年2月15日閲覧。.
- ^ Christgau, Robert (1978年1月23日). “The 1977 Pazz & Jop Critics Poll”. The Village Voice (ニューヨーク) 2020年4月16日閲覧。
- ^ Colin Larkin (2000). All Time Top 1000 Albums (3rd ed.). Virgin Books. p. 167. ISBN 0-7535-0493-6
- ^ “Randy Newman / ランディ・ニューマン「小さな犯罪者」” (Japanese). Warner Music Japan. 2025年2月17日閲覧。
- ^ “Musical Maps”. 2025年2月17日閲覧。
- ^ Kent, David (1993). Australian Chart Book 1970–1992 (illustrated ed.). St Ives, N.S.W.: Australian Chart Book. p. 216. ISBN 0-646-11917-6
- ^ “RPM Top 100 Albums - March 4, 1978”. 2025年2月17日閲覧。
- ^ "Dutchcharts.nl – Randy Newman – Little Criminals" (in Dutch). Hung Medien. 2021年10月29日閲覧。
- ^ "Charts.org.nz – Randy Newman – Little Criminals". Hung Medien. 2021年10月29日閲覧。
- ^ "Randy Newman Chart History (Billboard 200)". Billboard. 2021年10月29日閲覧。
- ^ “Jaaroverzichten – Album 1977”. dutchcharts.nl. 2021年10月29日閲覧。
- ^ “RPM Top 100 Albums of '78 - December 30, 1978”. 2025年2月18日閲覧。
- ^ “Top Billboard 200 Albums – Year-End 1978”. Billboard 2021年10月29日閲覧。.
- ^ "Canadian album certifications – Randy Newman – Little Criminals". Music Canada. 2023年6月1日閲覧。
- ^ "Dutch album certifications – Randy Newman – Little Criminals" (Dutch). Nederlandse Vereniging van Producenten en Importeurs van beeld- en geluidsdragers. 2022年7月16日閲覧。 Enter Little Criminals in the "Artiest of titel" box. Select 1978 in the drop-down menu saying "Alle jaargangen".
- ^ "American album certifications – Randy Newman – Little Criminals". Recording Industry Association of America. 2023年6月1日閲覧。
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