導入の背景と意義
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/11/29 03:52 UTC 版)
「ワイルドカードゲーム」の記事における「導入の背景と意義」の解説
MLBでは1994年から東・中・西の3地区制が導入され、これにともなって "ディビジョンシリーズ" (地区シリーズ)およびそこに進出するためのワイルドカード1枠が創設された。ポストシーズンは、それまで "リーグチャンピオンシップシリーズ" (リーグ優勝決定シリーズ)→ "ワールドシリーズ" の2段階だったのが、地区シリーズ→リーグ優勝決定シリーズ→ワールドシリーズの3段階になり、進出球団も4から8に倍増した。これらの改革は、レギュラーシーズンの消化試合減少につながって盛り上がりが増し、テレビ放映権料をはじめとする収益の拡大という結果をMLBにもたらした。 しかしその一方で、ワイルドカード制度がもたらす弊害もあった。たとえば、地区内で2球団が優勝争いしていても、ワイルドカードがあるためどちらもポストシーズンに出場できるとなれば、優勝争いが盛り上がらない。また、ワイルドカード球団に対する地区優勝球団へのアドバンテージといえば、地区シリーズおよびリーグ優勝決定シリーズ開幕を本拠地で迎えられることくらいであったため、ワイルドカードが確実に見込まれる場合には地区優勝を狙わず無理をしない球団も出てきた。 2011年までのワイルドカード獲得球団がワールドシリーズで優勝する、いわゆる「下克上 (番狂わせ)」は1997年(フロリダ・マーリンズ)、2002年(アナハイム・エンゼルス)、2003年(マーリンズ)、2004年(ボストン・レッドソックス)、2011年(セントルイス・カージナルス)と、17年間で5回もあった。 ワイルドカードゲームは、こうした状況を解消するために考案されたものである。地区優勝すれば無条件で地区シリーズに進出できるのに対し、ワイルドカードだった場合は一発勝負で負ければそこでシーズン終了となるため、必然的に地区優勝争いが重みを増すことになる。加えてワイルドカード球団は、ワイルドカードゲームにエース投手をつぎ込んで勝ったとしても、地区シリーズではそのエース投手がシリーズ後半まで投げられない状態で、1日多く休養を得た地区優勝球団のエース投手と対戦しなければならなくなり、大きなハンデとなる。
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