対幻想論
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/05/01 06:38 UTC 版)
〈家族〉は、〈対なる幻想〉を〈共同なる幻想〉に同致できるような人物を、血縁から疎外したとき発生した。『古事記』で無性の独神ではなく、男・女神が想定されるようになると〈性〉的な幻想に、はじめて〈時間〉性が導入された。しかし、人間は穀物の生成や枯死や種播きによって導入される〈時間〉の観念が、女性が子を妊娠し、生育し、子が成人するという時間性とちがうことに気づきはじめる。共同幻想(穀物の生成)としての時間性と対幻想(子供の成育)としての時間性が分離した。人間は〈対〉幻想に固有な時間性を自覚するようになって、はじめて〈世代〉という概念を手に入れた。〈親〉と〈子〉の相姦がタブー化されたのはそれからである。
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