対幻想の定義のあいまいさ
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/05/01 06:38 UTC 版)
「共同幻想論」の記事における「対幻想の定義のあいまいさ」の解説
また、独自の造語である「対幻想」の定義に揺れがある。対幻想の着想はフロイトのリビドー論からの影響が強いと思われるが、吉本は後に対幻想に「性別は関係ない」と主張を翻している。吉本の著作を読み解けば、対幻想は「性的交渉」「家族の本質」「一対一の関係」の3つの特徴をもっているのが読み取れるが、これらはそれぞれ鼎立しないのである。もし一対一の対なる関係を重視するのであれば、「家族の本質」ではなく、「夫婦の本質」と述べるべきである。性別も無視できるのであれば、ただの同性の幼馴染も、友人も、広い意味でのプライベート領域全般は、みな対幻想の対象になってしまう。「家族の本質」という特徴から乖離、拡散してしまうのである。吉本は自分の造語である対幻想を、明確に定義しきれてはいないのである。
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