実際の推定法
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/11/26 09:47 UTC 版)
「ファーマ-フレンチの3ファクターモデル」の記事における「実際の推定法」の解説
ファーマ-フレンチの3ファクターモデルを実際のデータに当てはめるためには、次の線形回帰式に最小二乗法を適用して推定する。 R ~ i , t − r = α i + β i M K T ( R ~ M , t − r ) + β i S M B S M B ~ t + β i H M L H M L ~ t + ϵ i , t , t = 1 , … , T {\displaystyle {\widetilde {R}}_{i,t}-r=\alpha _{i}+\beta _{i}^{MKT}({\widetilde {R}}_{M,t}-r)+\beta _{i}^{SMB}{\widetilde {SMB}}_{t}+\beta _{i}^{HML}{\widetilde {HML}}_{t}+\epsilon _{i,t},\quad t=1,\dots ,T} R ~ i , t , R ~ M , t , S M B ~ t , H M L ~ t {\displaystyle {\widetilde {R}}_{i,t},{\widetilde {R}}_{M,t},{\widetilde {SMB}}_{t},{\widetilde {HML}}_{t}} はそれぞれ時点 t {\displaystyle t} において実際に観測された株式 i {\displaystyle i} の収益率、市場ポートフォリオの収益率、時価総額リスクファクター、簿価時価比率リスクファクターであり、 ϵ i , t {\displaystyle \epsilon _{i,t}} は誤差項である。また α i {\displaystyle \alpha _{i}} は定数項で、ファーマ-フレンチの3ファクターモデルが成立するためにはその値は0であることが統計的仮説検定により確かめられなければならない。市場ポートフォリオの収益率はS&P500などの時価総額加重平均型株価指数の収益率や実際に市場に存在する株式から時価総額加重平均ポートフォリオを作ることで代理できるが、時価総額リスクファクターと簿価時価比率リスクファクターはどのような変数で代理するかは自明ではない。そこでファーマとフレンチは以下のような方法で時価総額リスクファクターと簿価時価比率リスクファクターの代理変数を計算した。 市場に存在する株式は無限に小さく分割して購入または空売り可能だと仮定する。ここで市場に存在するあらゆる株式を時価総額の大小と簿価時価比率の高低により2×3=6個のグループに分ける。つまり、時価総額が下位50%かつ簿価時価比率が上位30%、時価総額が下位50%かつ簿価時価比率が中位40%、時価総額が下位50%かつ簿価時価比率が下位30%、時価総額が上位50%かつ簿価時価比率が上位30%、時価総額が上位50%かつ簿価時価比率が中位40%、時価総額が上位50%かつ簿価時価比率が下位30%、という6つのグループに分けることになる。そして各グループについて、そのグループに属する全ての株式から時価総額加重平均ポートフォリオを作る。 ここで更に時価総額下位50%にあたる3つのグループのポートフォリオを1/3ドルずつ購入し、時価総額上位50%にあたる3つのグループのポートフォリオを1/3ドルずつ空売りするポートフォリオを考える。この時、この新たなポートフォリオの組成費用はゼロであり、このポートフォリオの収益率を時価総額リスクファクターの代理とするのである。時価総額リスクファクターは通常 S M B {\displaystyle SMB} と表されるが、これはSmall Minus Big という代理変数の作り方を表している。簿価時価比率リスクファクターも同様に、簿価時価比率上位30%にあたる2つのグループのポートフォリオを1/2ドルずつ購入し、下位30%の2グループのポートフォリオを1/2ドルずつ空売りするポートフォリオの収益率で代理する。簿価時価比率リスクファクターの H M L {\displaystyle HML} はHigh Minus Low を意味している。
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