官僚によるエージェンシー・スラック
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2017/03/08 15:11 UTC 版)
「プリンシパル=エージェント理論」の記事における「官僚によるエージェンシー・スラック」の解説
現代の民主政治では議会が立法権を掌握する場合が多い。ただし、政治家自らが法案を起草するよりも官僚に委ねた方が、立法作業にかかる多大な労力を官僚に肩代わりさせるという意味で、政治家にとっては合理的である。しかし、政策課題の問題状況、既存の政策の実施状況、新しい政策と法案を立案する上での専門知識などについて、官僚(エージェント)は政治家(プリンシパル)よりも情報優位者である。よって、情報の非対称性を利用して、官僚が政治家の選好から逸脱した法案を作成し政策を実施してしまう可能性がある。 また、特に政官関係の場合、たとえば首相(または大統領)と担当大臣と与党の間で意見の違いがあるなど、誰が「プリンシパル」なのか、官僚は誰の意見に従えば良いのかが一義的に明らかだとは限らない。これを行政学では行政責任のジレンマ状況と呼んでいる。このような状況では、官僚が「プリンシパルの意見」を都合良く解釈し行動してしまう危険性がますます増大する。 以上のように、政治家に代わって官僚が法案を作成していたとしても、官僚が政治家の政策選好に忠実に従っているのか(政党優位論)、官僚が勝手に行動しているのか(官僚優位論)を一概に断定することはできない。
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