安水稔和
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安水 稔和(やすみず としかず、1931年9月15日[1] - 2022年8月16日)は、日本の詩人。神戸松蔭女子学院大学元教授。
略歴
兵庫県神戸市須磨区生まれ[1]。1950年、詩誌「ぽえとろ」を創刊[1]。1954年、神戸大学文学部英米文学科卒業[1]。在学中から詩誌に関わり、のち『歴程』『たうろす』同人。現代詩人会所属。
1963年、多田武彦作曲の合唱組曲「京都」の作詞で文部省芸術祭奨励賞[1]。1973年、ラジオドラマ「旅に病んで」で芸術祭優秀賞受賞[1]。1984年、井植文化賞受賞[1]。1989年、詩集『記憶めくり』で第14回地球賞[1]。1990年、神戸市文化賞受賞[1]。1996年、兵庫県文化賞受賞[2]。1997年、『秋山抄』で第6回丸山豊記念現代詩賞[1]。1999年、『生きているということ』で第40回晩翠賞[1]。2001年、詩集『椿崎や見なんとて』で第16回詩歌文学館賞[1]。2005年、詩集『蟹場まで』に至る菅江真澄に関する営為で第43回藤村記念歴程賞受賞[3]。
阪神・淡路大震災をテーマにした作品を書き続けた[1]。1985年から2017年まで神戸新聞読者文芸詩欄選者を務めた[2]。1997年には兵庫県現代詩協会の設立を呼びかけ、初代会長を務めた[4][5]。
2025年1月、神戸文学館にて企画展「〈阪神・淡路大震災30年〉詩人が見た1.17:安水稔和の記憶をつなぐ」が開催された[6]。
著書
- 『存在のための歌』(くろおぺす社、1955年)第一詩集
- 『愛について(人文書院、1956年)第二詩集
- 『鳥』(くろおぺす社、1958年)第三詩集
- 『能登』(蜘蛛出版社、1962年)第四詩集
- 『花祭』(蜘蛛出版社、1964年)第五詩集
- 『やってくる者』(蜘蛛出版社、1966年)第六詩集
- 『安水稔和詩集』(思潮社〈現代詩文庫〉、1969年)選詩集[注釈 1]
- 『佐渡』(蜘蛛出版社、1971年)第七詩集
- 『歌のように』(蜘蛛出版社、1971年)第八詩集
- 『幻視の旅:旅へ行け / 旅へ行くな』(文研出版、1973年)旅行記
- 『歌の行方:菅江真澄追跡』(国書刊行会、1977年1月)評論集
- 『西馬音内(にしもない)』(蜘蛛出版社、1977年8月)第九詩集
- 『異国間(いこくんま)』(蜘蛛出版社、1979年12月)第十詩集
- 『鳥になれ鳥よ』(花曜社、1981年9月)詩論集
- 『きみも旅をしてみませんか』(吉野教育出版、1982年)エッセイ
- 『記憶めくり:安水稔和詩集』(編集工房ノア、1988年12月)第十一詩集
- 『おまえの道を進めばいい:播磨の文人たちの物語』(神戸新聞総合出版センター、1991年11月)エッセイ
- 『風を結ぶ:安水稔和詩集』(編集工房ノア、1993年12月)第十二詩集
- 『木と水への記憶』(編集工房ノア、1994年11月)ラジオのための作品集
- 『震える木:安水稔和詩集』(編集工房ノア、1994年12月)第十三詩集
- 『ニッポニア・ニッポン』(編集工房ノア、1995年7月)ラジオのための作品集
- 『君たちの知らないむかし広島は』(編集工房ノア、1995年10月)ラジオのための作品集
- 『神戸 これから:激震地の詩人の一年』(神戸新聞総合出版センター、1996年5月)詩文集
- 『秋山抄(あきやましょう):安水稔和詩集』(編集工房ノア、1996年11月)第十四詩集
- 『島』(編集工房ノア、1997年12月)ラジオのための作品集
- 『焼野の草びら:神戸 今も』(編集工房ノア、1998年2月)詩文集
- 『安水稔和全詩集』(沖積舎、1999年2月)全詩集
- 『生きているということ:安水稔和詩集』(編集工房ノア、1999年3月)第十五詩集
- 『椿崎や見なんとて:安水稔和詩集』(編集工房ノア、2000年3月)第十六詩集
- 『届く言葉:神戸 これはわたしたちみんなのこと』(編集工房ノア、2000年9月)詩文集
- 『安水稔和詩集』(沖積舎、2000年10月)自選詩集
- 『〈新編〉歌の行方:菅江真澄追跡』(編集工房ノア〈真澄の本〉、2001年10月)評論集
- 『ことばの日々:安水稔和詩集』(編集工房ノア、2002年3月)第十七詩集
- 『眼前の人:菅江真澄接近』(編集工房ノア〈真澄の本〉、2002年10月)評論集
- 『おもひつづきたり:菅江真澄説き語り』(編集工房ノア〈真澄の本〉、2003年10月)評論集
- 『竹中郁 詩人さんの声』(編集工房ノア、2004年6月)評論集
- 『蟹場まで(がにばまで):安水稔和詩集』(編集工房ノア、2004年10月)第十八詩集
- 『小野十三郎 歌とは逆に歌』(編集工房ノア、2005年4月)評論集
- 『十年歌:神戸 これからも』(編集工房ノア、2005年12月)詩文集
- 『内海信之 花と反戦の詩人』(編集工房ノア、2007年9月)評論集
- 『久遠(くどう):安水稔和詩集』(編集工房ノア、2008年10月)第十九詩集
- 『未来の記憶:菅江真澄同行』(編集工房ノア〈真澄の本〉、2009年10月)評論集
- 『遠い声 若い歌:『安水稔和全詩集』以前の未刊詩集』(沖積舎、2009年11月)
- 『ひかりの抱擁』(編集工房ノア、2010年3月)第二十詩集
- 『〈新編〉幻視の旅:安水稔和初期散文集』(沖積舎、2010年3月)旅行記
- 『杉山平一 青をめざして』(編集工房ノア、2010年6月)評論集
- 『菅江真澄と旅する:東北遊覧紀行』(平凡社〈平凡社新書598〉、2011年7月)
- 『紫式部なんか怖くない』(編集工房ノア、2012年12月)
- 『鳥の領土』(編集工房ノア、2013年4月)
- 『ぼくの詩の周辺:安水稔和初期散文集1950-60年』(沖積舎、2013年8月)
- 『生あるかぎり言葉を集め:神戸、この街で わが心の自叙伝』(神戸新聞総合出版センター〈のじぎく文庫〉、2013年11月)
- 『記憶の目印:安水稔和詩集』(編集工房ノア、2013年10月)
- 『有珠:安水稔和詩集』(編集工房ノア、2014年10月)
- 『春よめぐれ:安水稔和詩集』(編集工房ノア〈ノア詩文庫〉、2015年1月)
- 『声をあげよう言葉を出そう:神戸新聞読者文芸選者随想』(発行:『声をあげよう言葉を出そう』編集委員会、発売:神戸新聞総合出版センター、2015年6月)
- 『安水稔和詩集成』上下巻(沖積舎、2015年8月)
- 『隣の隣は隣:神戸わが街』(編集工房ノア、2016年8月)
- 『神戸わが街:ここがロドスだここで踊ろう』(発行:『神戸わが街』編集委員会、発売:神戸新聞総合出版センター、2016年11月)
- 『一行の詩のためには:安水稔和未刊散文集1961-2016年』(沖積舎、2016年12月)
- 『甦(よみがえ)る:安水稔和詩集』(編集工房ノア、2017年5月)
- 『地名抄:安水稔和詩集』(編集工房ノア、2018年11月)
- 『辿る:続地名抄:安水稔和詩集』(編集工房ノア、2019年9月)
- 『繋ぐ:続続地名抄:安水稔和詩集』(編集工房ノア、2020年4月)
共編著
- 『100年の詩集:兵庫・神戸・詩人の歩み』(蜘蛛編集グループ編、神戸:日東館、1967年)(後記によると「蜘蛛編集グループ」は中村隆、君本昌久、伊勢田史郎、安水稔和である)
- 『小野十三郎 若い人のための現代詩』(小野十三郎著、社会思想社〈現代教養文庫〉、1972年)
- 『神戸の詩人たち 戦後詩集成』(君本昌久共編、神戸新聞出版センター、1984年7月)
- 『兵庫の詩人たち 明治・大正・昭和詩集成』(君本昌久共編、神戸新聞出版センター、1985年12月)
楽譜(歌詞)
- 『京都: 合唱組曲 : 混声』作詞, 安水稔和;作曲,多田武彦 (音楽之友社 , 1965年)(合唱名曲コレクション, D5)
- 『白き花鳥図』 多田武彦 (音楽之友社 , 1983年)(混声合唱曲集 / 多田武彦, 1)(京都 / 安水稔和作詩を含む)
- 『鳥について : 混声合唱組曲』安水稔和=作詩 ; 池辺晋一郎=作曲 (カワイ出版 , 2001年)
- 『あなたにあいたくて生まれてきた詩 : 混声合唱組曲 = Seven songs for you : suite for mixed chorus 千原英喜 = Hideki Chihara (全音楽譜出版社, 2011年7月)(風のうた / 安水稔和詩を含む)
- 『Da capo : for mixed chorus and piano : 混声合唱曲集』 安水稔和作詩 ;信長貴富作曲 (音楽之友社 , 2019年8月)
- 『ことばの日々: 混声合唱とピアノのための三章』 安水稔和作詩; 信長貴富作曲 (カワイ出版 , 2020年10月)
脚注
注釈
出典
- ^ a b c d e f g h i j k l m “安水 稔和 - 兵庫ゆかりの作家”. ネットミュージアム兵庫文学館 : 兵庫県立美術館. 2022年10月11日閲覧。
- ^ a b c 「神戸の詩人、安水稔和さん死去 阪神・淡路大震災の記憶刻む 東日本の被災地にも思い寄せ」『神戸新聞NEXT』神戸新聞社、2022年10月9日。2022年10月10日閲覧。
- ^ a b 「詩人・安水稔和さん死去 90歳 阪神大震災をテーマに創作」『毎日新聞』毎日新聞社、2022年10月10日。2022年10月11日閲覧。
- ^ "企画展「詩人が見た1.17:安水稔和の記憶をつなぐ」チラシ."神戸市公式サイト. 2025年5月29日閲覧。
- ^ "協会の歩み."兵庫県現代詩協会. 2025年5月29日閲覧。
- ^ "王子公園にある「神戸文学館」で、企画展『阪神・淡路大震災30年 詩人が見た1.17』が開催."神戸ジャーナル(2025年1月4日). 2025年5月29日閲覧。
外部リンク
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