学校間の学力格差
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/03/27 05:59 UTC 版)
「年齢主義と課程主義」の記事における「学校間の学力格差」の解説
年齢主義を基準とした進級・卒業制度をとる以上、そういった学校の卒業生の学力は担保されていないことになる。このため、上級学校への進学を志願する卒業生の中には、本来の課程修了レベルの学力に達していないまま半ば強制的に卒業の形で放り出された者も多く、上級学校によっては、そういった生徒をも入学させることになる。日本の教育環境においては、学力による選抜試験を行って入学者を決定するのが通例であるため、入学難易度の低い学校には学力の低い生徒が集まりやすくなる傾向にある。日本では難易度の低い学校に学力の高い生徒があまり入学しない傾向にあるため(「偏差値輪切り」という)、その傾向はますます強まる。こうして、学校間の生徒の学力格差が広まり、固定化するようになる。 この傾向は、小学校、非大都市圏の中学校においては選抜制の学校が少ないためにあまり見られず、学校内における生徒間の学力格差は大きいが、大都市圏の中学校においては私立中学が多く中学受験が盛んであることから特に公私間の学校格差が拡大している。また、近年は公立中高一貫校の増加に伴い、多くの地域で限定的ながら同様な状況が生まれつつある。高校においては、ほとんどの学校が選抜制を採用しているため、一時期はかなり強固に学力によって進学する高校が振り分けられており、学校間格差が非常に大きかった。近年はそういった進学指導は緩和しているが、依然として入学試験の偏差値によるランク付けはなされており、「難関校」「底辺校」といった固定的なイメージは残存している。 ただし、年齢主義の場合であっても必ずしも学校間格差が大きくなるわけではなく、学校が選抜試験を行わず、1つの学校で多様な学力の生徒に対して適切な教育を施せる体制を整えれば、学校間格差は生じない(人気の集中する私立校の存在は除く)。実際に、アメリカ合衆国では高校までも年齢主義的な進級制度をとっている例が多いが、多くの高校は選抜制ではないため、学校間の学力格差はさほど問題になるほどではないといわれる(むしろ貧富や治安、人種問題などの差がある)。
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