太陰暦と季節
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/10/31 03:49 UTC 版)
1太陰年(太陰暦の1年)は、354.36707日であり、これは、地球の公転周期(回帰年)である365.24219日より約11日短い。一方、季節の周期は、地球の公転周期と関連する。したがって、太陰暦では、特定の月日の季節は、年により変動し、約8年で四季1つぶん(約88日)早くなり、約33年で季節を一周する。一例を挙げれば、北半球を基準とすると、ヒジュラ暦1428年のラマダーン(9月)は西暦2008年9月ごろで初秋だが、ヒジュラ暦1410年のそれは西暦1990年4月ごろで中春であった。 このように、十数年以上の時間スケールで見た場合、月日と季節はまったく無関係である。しかし短い時間スケールなら、たとえば去年と今年のラマダーンの季節はほぼ等しい。これは、太陽暦において長い時間スケールでは日と月相は無関係だが、先月と今月の同じ日の月相ならほぼ等しいことと対応している。逆に、太陰暦では同じ日なら月相はほぼ同じである。太陽暦では、同じ月日なら季節はほぼ同じである。 太陰暦の特定の月日の季節が年ごとにずれる欠点を補うため、閏月を設け季節のずれを調節したものが、太陰太陽暦である(一方、閏月を設けない太陰暦のことを純太陰暦・純粋太陰暦とよぶ場合もある)。太陰太陽暦は、月相の一致と季節の一致を両立させている(ただし季節が一致する精度は高くない)。東アジアで単に太陰暦・陰暦といった場合、かつての太陰太陽暦である中国暦や和暦など意味することが多い。これらが廃止された中国や日本では、旧暦とほぼ同義である。 太陰暦は朔望月で1か月を定めているが、12か月で1年としているのは1回帰年(1太陽年)も起源に影響している。逆に、太陽暦は太陽年で1年を定めているが、それを約30日ずつの暦月で12か月に分けているのは朔望月も起源に影響している。
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