大山不動霊験記
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/12/31 06:04 UTC 版)
「大山 (神奈川県)」の記事における「大山不動霊験記」の解説
『大山不動霊験記』は全131話から成り、大山の不動明王の霊験がもたらされるにはどうすればよいか、が説話の中で語られており、ただ願うだけではなく実際に行動することを訴えていて、大山信仰の発展に一定の役割を果たしたと指摘される。 『大山不動霊験記』には神奈川県内に関する説話が66話あり、全体の50%強となる。特に、大住郡(現在の伊勢原市・平塚市・秦野市)に関する説話は32話あり、県内全体の48%になる。県外では、59話のうち江戸関連が21話、武蔵国関連が11話、下野国関連が11話と多く、他は僅少である。これらの事実は、当時の大山信仰の分布を考察するうえで重要視すべきものとされる。 説話の中に登場する年代についてみると、寛永年間(1624〜1644)から寛政4年(1792年)までが128話と最も多く、その中でも明和・安永年間(1764〜1781年)の説話が約58%になる。特に安永年間の説話は44話であり、全体の約34%である。このことは、大山信仰の最盛期が宝暦年間(1751〜1764年)以降とされることを裏づけているとされる。 また、説話の登場人物では、百姓が57人であり、全体の約47.5%となっており、大山信仰が百姓を中心とした庶民の信仰であったことを示すとされる。また、人々が大山に祈願したこととして、最も多いのは、病気平癒(45話)で全体の36%であり、ついで災難除け(34話)で、全体の27%である。なお、大山古川柳にみられるような「借金逃れ」の説話はみられない。
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