多自然型魚道
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/05/17 16:05 UTC 版)
近自然型魚道ともいい、自然の川を模してあらゆる水生生物が通れるように配慮したもの。多自然型迂回水路などがある。魚の遡行を妨げないための人工構造物という魚道のもともとの概念を離れ、多自然型川づくりを魚道に持ち込んだものと言える。条件しだいで自然の川と見まがう水路ができるが、自然に任せればうまくいくというものではなく、細かく配慮した設計と施工が必要になる。 また、自然な流れで魚を遡上させるには、概して人工的な魚道よりも勾配を緩やかにする必要があり、その分、長大な魚道となって建設コストは嵩む。場所も多くとる。さらに魚道内の植物繁茂等も生じやすく、維持管理の手間・コストもかかる。 魚道内の石組み、石の大きさ等を工夫すれば、それなりに急勾配化は可能だが、その場合の流れは、プール式魚道などの人工的な魚道と同様になる。総じて多自然化、近自然化の度合いを高めるほど、見た目の美しさ、親水性、自然への接近という利点は増進するものの、建設費、維持管理の手間などのコスト面の問題も増し、また、魚道効果の持続性に十分な配慮が必要となる。
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