塩化マンガン(II)とは? わかりやすく解説

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スカッチャイト

分子式Cl2Mn
その他の名称塩化マンガン(II)、Dichloromanganese(II)、Manganese(II) dichloride、二塩化マンガンManganese(II) chloride塩化第一マンガン、Manganous chlorideManganese dichloride、塩化マンガン(II)、スカッチャイト、Scacchite
体系名:マンガン(II)ジクロリド、ジクロロマンガン(II)


塩化マンガン(II)

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2025/11/02 07:19 UTC 版)

塩化マンガン(II)
無水物
四水和物
物質名
識別情報
3D model (JSmol)
ChEMBL
ChemSpider
ECHA InfoCard 100.028.972
PubChem CID
RTECS number
  • OO9625000
UNII
CompTox Dashboard (EPA)
性質
MnCl2
モル質量 125.844 g/mol (無水物)
161.874 g/mol (二水和物)
197.91 g/mol (四水和物)
外観 ピンク色の固体 (四水和物)
密度 2.977 g/cm3 (無水物)
2.27 g/cm3 (二水和物)
2.01 g/cm3 (四水和物)
融点 654 °C (1,209 °F; 927 K) (無水物)
二水和物は 135 °C で脱水
四水和物は 58 °C で脱水
沸点 1,225 °C (2,237 °F; 1,498 K)
63.4 g/100 ml (0 °C)
73.9 g/100 ml (20 °C)
88.5 g/100 ml (40 °C)
123.8 g/100 ml (100 °C)
溶解度 ピリジンにわずかに溶ける。エタノールに溶ける。ジエチルエーテルに溶けない。
磁化率 +14,350·10−6 cm3/mol
構造
CdCl2
八面体
危険性
NFPA 704(ファイア・ダイアモンド)
Health 2: Intense or continued but not chronic exposure could cause temporary incapacitation or possible residual injury. E.g. chloroformFlammability 0: Will not burn. E.g. waterInstability 0: Normally stable, even under fire exposure conditions, and is not reactive with water. E.g. liquid nitrogenSpecial hazards (white): no code
2
0
0
引火点 不燃性
致死量または濃度 (LD, LC)
250-275 mg/kg (ラット, 経口)[要出典]
1715 mg/kg (マウス, 経口)[1]
関連する物質
関連物質 塩化鉄(II)
特記無き場合、データは標準状態 (25 °C [77 °F], 100 kPa) におけるものである。
N verify (what is  N ?)

塩化マンガン(II) (えんかマンガン に)は、化学式 MnCl2 で表される無機化合物で、無水物2水和物、4水和物が知られる。普通はうすい桃色の塩である4水和物として存在する。色が薄いのはハイスピン型の d 5 電子配置による。天然にはまれにスカッチャイト(スカツキ石)として産出し、ベスビオ火山などでみられる。

製造

金属マンガン炭酸マンガン(II)塩化水素塩酸の反応により無水物か水和物が得られる。

酸化マンガン(IV) と濃塩酸を混合して加熱することによっても生成する。この反応はかつて塩素の製造法として使われたこともあった。4価のマンガン塩が塩酸によって2価に還元され、同時に塩化物イオンはマンガンによって塩素に酸化される反応である。

化学的性質

水溶液は pH 4 程度の弱酸性を示す。塩化マンガン(II) は種々のマンガン化合物を合成するのに用いることができる。例えば、炭酸カリウムとの反応では炭酸マンガン(II) が沈殿として生成する。

上の式で MnCl2 (aq) は水溶液中の塩化マンガン(II) を表すが、実際にはマンガンイオンは水和されて [Mn(H2O)6]2+ となっている。

塩化マンガン(II) は弱いルイス酸であり、塩化物イオンと反応して [MnCl3]、[MnCl4]2−、[MnCl6]4− といった錯イオンを形成する。

典型的な有機化合物配位子と反応させると空気酸化されて3価のマンガン錯体となる。EDTA錯体 [Mn(EDTA)]シアン化物錯体 [Mn(CN)6]3−アセチルアセトナト錯体 [Mn(acac)3] などが知られる。トリフェニルホスフィンとの反応では、不安定な1:2付加物が生成する。

無水物は禁水条件が必要な反応に用いられる。例えば、無水の塩化マンガン(II) とナトリウムシクロペンタジエニドからマンガノセンが合成される。

磁性

塩化マンガン(II) は常磁性を持つので、核磁気共鳴画像法 (MRI) で造影剤として用いられる。特に水溶液を内服して消化管陰性造影により胆道膵管の描出を行うMRCPに利用される。

毒性

長期にわたって塩化マンガン(II) の粉末や蒸気に曝されるとマンガン中毒(マンガニズム)を起こすことがある。

参考文献

  • Greenwood, N. N.; Earnshaw, A. (1997). Chemistry of the Elements, 2nd ed. Butterworth-Heinemann, Oxford, UK.
  • Handbook of Chemistry and Physics, 71st edition. CRC Press, Ann Arbor, Michigan, 1990.
  • Wells, A. F. (1984). Structural Inorganic Chemistry, 5th ed. Oxford University Press, Oxford, UK.
  • The Merck Index, 7th edition. Merck & Co, Rahway, New Jersey, USA, 1960.
  • Holleman, A. F.; Wiberg, E. (2001). "Inorganic Chemistry". Academic Press: San Diego. ISBN 0-12-352651-5.
  1. ^ Manganese compounds (as Mn)”. 生活や健康に直接的な危険性がある. アメリカ国立労働安全衛生研究所英語版(NIOSH). 2025年11月2日閲覧。


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