七酸化二マンガン
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出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/07/19 07:10 UTC 版)
七酸化二マンガン | |
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Manganese(VII) oxide |
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別称
酸化マンガン(VII)
無水過マンガン酸 七酸化マンガン |
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識別情報 | |
CAS登録番号 | 12057-92-0 |
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特性 | |
化学式 | Mn2O7 |
モル質量 | 221.87 g/mol |
外観 | 暗赤色油状液体(室温),硫酸との接触で緑色 |
密度 | 2.79 g/cm3 |
融点 | 5.9 ℃, 279.1 K |
沸点 | 加熱によって爆発 |
水への溶解度 | 過マンガン酸(HMnO4)に分解 |
構造 | |
結晶構造 | 単斜方晶系 |
危険性 | |
主な危険性 | 爆発性, 強酸化性, 強腐食性 |
関連する物質 | |
関連物質 | Re2O7 KMnO4 Tc2O7 Cl2O7 |
特記なき場合、データは常温 (25 °C)・常圧 (100 kPa) におけるものである。 |
七酸化二マンガン(ななさんかにマンガン、英:dimanganese heptoxide)は、Mn2O7という化学式で表される無機化合物である。2分子の過マンガン酸が脱水縮合した酸無水物に相当する、極めて反応性が高い揮発性の液体であり、非常に危険な酸化剤である[1]。
性質
この化合物の結晶は暗緑色であり、四塩化炭素に溶解、水によって分解する。5.9 ℃で融解し、-10 ℃で昇華する。その構造は、無極性分子であることを示している。分子は頂点共有二四面体構造をとっており、四面体の頂点は酸素原子が、中心はマンガン(VII)原子が占めている。結合はO3Mn-O-MnO3の形を取り、末尾のMn-O結合距離は1.585 Åで、橋掛けをしている酸素原子とマンガン原子の結合距離は1.77 Åである。Mn-O-Mnがなす角は120.7°である[2]。
この化合物は最高酸化数+7をとるマンガン原子を含み、同様の酸化数をとるマンガン原子を含む他の化合物には、より安定な過マンガン酸塩がある。
イオンの中でも、ピロ硫酸イオンや二リン酸イオン、二クロム酸イオンはMn2O7に似た構造をとる。類似構造を持つ主な化合物としては、典型元素の酸化物としてCl2O7などが挙げられる。遷移金属の酸化物では、Tc2O7とMn2O7は構造的に類似しているが、Tc-O-Tcがなす角は180°である。固体のRe2O7は、分子ではないがそれぞれの中心が正四面体側と正八面体側とともに架橋されており[3]、蒸気では分子の構造はTc2O7に似ている[4]。
合成と反応
七酸化二マンガンは冷濃硫酸に固体の過マンガン酸塩(代表的なものとしては過マンガン酸カリウム)を少量ずつ注意深く加えることで濃緑色油状液体として生成する。この反応では、初めに強酸である硫酸との弱酸遊離反応によって過マンガン酸(HMnO4)が遊離し、その後すぐに濃硫酸によって脱水されて2分子の過マンガン酸が分子間脱水を起こし、その酸無水物である七酸化二マンガンが生成している。
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