圧縮記帳の効果
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/06/02 06:06 UTC 版)
圧縮記帳は本来なら一時に行なわれる課税を繰り延べる効果をもたらすテクニックである。 例として、国から500万円の補助金を受け、1,000万円の備品を買ったとする。この場合の仕訳は以下のとおりとなる。 借方貸方当座預金 5,000,000備品 10,000,000 国庫補助金受贈益 5,000,000当座預金 10,000,000 しかし、法人税法上、この仕訳のままでは国庫補助金受贈益にいっぺんに税金がかかることになり、会社の税金が膨らんで経営活動を阻害することになる。そこで、受贈益分については、次のような損金処理を行なって、固定資産の減額を計る事ができる。 借方貸方固定資産圧縮損 5,000,000 備品 5,000,000 なお、この処理は 確定した決算において積立金として積み立てる方法 決算の確定の日までに剰余金の処分により積立金として積み立てる方法 でも可能である(ただし、交換により取得した資産の交換差益については、損金経理による圧縮記帳のみ。法人税法第50条)。この場合、繰越利益剰余金で処理する場合は、次の仕訳が必要である。 借方貸方繰越利益剰余金 5,000,000 備品圧縮積立金 5,000,000 この場合、圧縮積立金は損金経理されていないので、法人税の確定申告時に調整することになる。また、積立金は、税務上の取得価額と帳簿上の取得価額の双方で減価償却費を計算し、税務上の取得価額で計算した減価償却費を超える分だけ積立金を取り崩して益金の額に算入することになる。 圧縮記帳の効果は、あくまで「課税の繰り延べ」である。圧縮記帳で固定資産の価額が減った分、次年度以降の減価償却の費用(損金)もまた減ることになり、その分通常の処理よりも1年目は税の軽減が受けられるが、2年目以降の益金が増え、結果として1年目に減額された税金は2年目以降に国庫に入ることになる。これが「課税の繰り延べ」と言われる理由である。
※この「圧縮記帳の効果」の解説は、「圧縮記帳」の解説の一部です。
「圧縮記帳の効果」を含む「圧縮記帳」の記事については、「圧縮記帳」の概要を参照ください。
- 圧縮記帳の効果のページへのリンク