四塩化テルルとは? わかりやすく解説

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テトラクロロテルル(IV)

分子式Cl4Te
その他の名称テルルテトラクロリド、塩化テルル(IV)、四塩化テルル、Tellurium tetrachloride、塩化テルル(TeCl4)、Tellurium chloride(TeCl4)、Tellurium(IV) tetrachloride
体系名:テトラクロロテルル(IV)、テルル(IV)テトラクロリド


四塩化テルル

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/12/31 10:03 UTC 版)

四塩化テルル
識別情報
CAS登録番号 10026-07-0 
PubChem 61443
ChemSpider 55367 
UNII DNY2R5498H 
特性
化学式 [TeCl4]4
モル質量 1077.64 g/mol
外観 吸湿性淡黄色固体
(融合するとマルーン色液体)
密度 3.26 g/cm3(固体)
融点

224 °C, 497 K, 435 °F

沸点

380 °C, 653 K, 716 °F

構造
結晶構造 単斜晶系, mS80
空間群 C12/c1, No. 15
配位構造 歪んだ八面体 (Te)
分子の形 シーソー (気相)
双極子モーメント 2.59 D (気相)
危険性
主な危険性 毒性、腐食性
呼吸器刺激
関連する物質
その他の陰イオン 四フッ化テルル
四臭化テルル
四ヨウ化テルル
その他の陽イオン 四塩化セレン
四塩化ポロニウム
関連物質 二塩化テルル
特記なき場合、データは常温 (25 °C)・常圧 (100 kPa) におけるものである。

四塩化テルル(しえんかテルル、Tellurium tetrachloride)は、実験式TeCl4無機化合物である。揮発性で、0.1 mmHgの下、200℃で昇華する[1]。融解した四塩化テルルはイオン性で、TeCl3+とe2Cl102-に解離する[1]

構造

気相では単量体であり、構造は、四フッ化硫黄に似る[2]。固相では、四量体のキュバン型クラスターであり、Te4Cl4核の各々のテルル原子に3つの末端塩素が配位した構造である。あるいは、この四量体構造は、塩素が面心配位したTe4四面体のテルル原子ごとに3つの末端塩素が配位し、各々のテルル原子が歪んだ八面体を形成していると見ることもできる。

合成

粉末テルルの塩素化により得られる。

Te + 2 Cl2 → TeCl4

この反応は、加熱により始まる。生成物は蒸留により単離する[3]

利用

有機合成の分野で興味が持たれることがある[4]アルケンに付加してCl-C-C-TeCl3誘導体を与えた後、硫化ナトリウムによりテルルを除去できる。電子の豊富なアレンと反応すると、アリルテルル化合物が得られる。そのため、アニソールは、TeCl2(C6H4OMe)2となり、これはテルル化ジアリルに還元できる。

安全性

他のテルル化合物と同様に、毒性を持つ。また、加水分解すると塩化水素を遊離する。

出典

  1. ^ a b グリーンウッド, ノーマン; アーンショウ, アラン (1997). Chemistry of the Elements (英語) (2nd ed.). バターワース=ハイネマン英語版. ISBN 978-0-08-037941-8
  2. ^ Cotton, F. Albert; Wilkinson, Geoffrey; Murillo, Carlos A.; Bochmann, Manfred (1999), Advanced Inorganic Chemistry (6th ed.), New York: Wiley-Interscience, ISBN 0-471-19957-5 
  3. ^ Suttle, J. F.; Smith, C. R. F. (1950). Audrieth, Ludwig F.. ed. Tellurium(IV) chloride. Inorganic Syntheses. 3. pp. 140–2. doi:10.1002/9780470132340. ISBN 978-0-470-13162-6 
  4. ^ Petragnani, N.; Comasseto, J. V. (1991). “Tellurium Reagents in Organic Synthesis; Recent Advances. Part 1”. Synthesis 1991 (10): 793–817. doi:10.1055/s-1991-26577.  and Petragnani, N.; Comasseto, J. V. (1991). “Tellurium Reagents in Organic Synthesis; Recent Advances. Part 2”. Synthesis 1991 (11): 897–919. doi:10.1055/s-1991-26605. 


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