問題の所在—表紙とタールの沼
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/09/07 01:56 UTC 版)
「人月の神話」の記事における「問題の所在—表紙とタールの沼」の解説
本書の表紙には、タールの沼と複数の獣たちの絵が描かれている。 太古の昔から、タールの沼に落ちた巨大な獣が死にもの狂いで岸に這い上がろうとしている光景ほど、鮮烈なものはない。恐竜やマンモス、それにサーベル・タイガーが、タールに捕らえられまいとしてもがく様が目に浮かぶ。激しくもがけばもがくほど、タールは一層絡みつき、どんなに力強い獣でも、また賢く器用な獣でも、ついには沈んでいってしまう。 大規模システムプログラム開発は、過去十年以上もの間そうしたタールの沼のようなものだった。そして、多くの強大な獣たちが、その中へ乱暴に突き落とされてきた。たいていは稼働システムを作り、這い上がってきたものの、目標とスケジュール、それに予算にかなったものはほとんどなかった。 規模の大小、また大量動員あるいは少数精鋭であろうとも、開発チームは次から次へとタールでがんじがらめになってしまう。問題を引き起こす原因は、一つだけではないように思われる。原因が一つだけなら、足のどれか一本くらいはタールから抜けるはずだ。だが、同時かつ相互に影響し合う要因が重なり合っているのなら、動きがどんどん遅くならざるをえない。この問題が執拗でやっかいなのは、誰にとっても驚異であり、その本質を理解することは困難である。しかし、問題を解決しようというならば、理解するように努めなくてはならない。 — フレデリック・P・ブルックス Jr.、滝沢徹、牧野祐子、宮澤昇、2002年、p.4
※この「問題の所在—表紙とタールの沼」の解説は、「人月の神話」の解説の一部です。
「問題の所在—表紙とタールの沼」を含む「人月の神話」の記事については、「人月の神話」の概要を参照ください。
- 問題の所在—表紙とタールの沼のページへのリンク