和書の扉絵
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2017/10/30 05:18 UTC 版)
扉絵は、本の扉に描かれた絵である。1ページを丸ごと割くような形式の挿絵は、扉絵と似たような性格を帯びる。日本では、洋書の形式を模倣して制作された。江戸時代以前の挿絵入り本には結果的に扉絵になった本もあるが形式として確立したものではない。和本の扉絵の中には『源氏物語』の影響を受けているものもある。 扉絵は研究の対象となることがある。例えば、日本において蘭学を切り開いた『解体新書』には小田野直武が描いた右の写真のような扉絵があるが、杉田玄白らが翻訳した『ターヘル・アナトミア』オランダ語版の扉絵とはまったく異なっており、原典となった西洋解剖書が何であるかは謎とされてきた。中原(1993)はスペイン生まれのワルエルダの解剖書の扉絵のうち1579年版の図のコピーに『解体新書』の扉絵のコピーを重ね合わせたところ、アダムは左手の位置を除いてすべてが、イヴは寸分違わず一致することを突き止めた。また樋口・中原(2001)は、日本歯科大学新潟歯学部の「医の博物館」が保有する黄色の表紙(以下、黄版とする)と緑の表紙(以下、緑版とする)の2種類の『解体新書』の扉絵を分析し、より古いと考えられる黄版には、緑版には見られない線があることを発見した。
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