反強磁性での超交換相互作用
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/11/19 01:10 UTC 版)
「反強磁性」の記事における「反強磁性での超交換相互作用」の解説
多くの反強磁性とフェリ磁性において、その相互作用の起源は超交換相互作用である。反強磁性での超交換相互作用においても、格子状に整列する多数の磁気モーメントの向きによって磁気特性が説明される点では、強磁性と同様であるが、反強磁性体では1種類のイオンが半数ずつの副格子に分かれて、それらが互いにほぼ反対方向の磁気モーメントを持つ点で異なる。 酸化マンガンを例に説明する。2つの副格子に存在するマンガン・イオンをそれぞれ Mn2+(A)、Mn2+(B) と表現する。超交換相互作用は左右を Mn2+(A) と Mn2+(B) にはさまれた酸素イオン O2- の3つのイオン間で働く。Mn2+(A)の 3d軌道に「フントの規則」によって同じ方向を向いた5つの電子によるスピンが存在する。2つのマンガン・イオンにはさまれた酸素イオン O2- の 2p軌道の1つの電子が Mn2+(A)の 3d軌道にある電子の1つと化学結合するために、スピンの向きが互いに反対向きとなってエネルギーを最少にして安定となる必要がある。 Mn2+(A) と O2- が電子のスピンの向きを反対にして化学結合した反対側のMn2+(B) も O2- の 2p軌道の電子と化学結合するために、それぞれの電子のスピンの向きを反対にするが、この時、O2- に残っている 2p軌道の電子の向きは最初にMn2+(A) と結合した 2p軌道の電子とは逆向きのため、Mn2+(B) は O2- をはさんで Mn2+(A) とは逆方向に結合することになる。 この二次摂動の結果としてMn2+(A) と Mn2+(B) の持つ5つの電子のスピンはほぼ反対方向を向き、互いに打ち消しあうことになる。これが反強磁性での超交換相互作用である。
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