原子の励起
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2020/12/23 09:28 UTC 版)
この概念の単純な例として水素原子について考える。 水素原子の基底状態は、原子の単一の電子が可能な最低オービタル(すなわち、球対称な "1s" 波動関数。これは可能な最も低い量子数の組み合わせを持つ)にあることに相当する。原子に追加のエネルギーを(例えば、適切なエネルギーのフォトンの吸収によって)与えることで、電子は励起状態(1つ以上の量子数が基底状態よりも大きい状態)に移ることができる。フォトンが過大なエネルギー(水素原子のイオン化エネルギー以上のエネルギー)を持つとすると、電子は原子に束縛されなくなり、原子はイオン化する。 励起後、原子は特徴的なエネルギーを持つフォトンを放出することによって基底状態あるいはより低い励起状態に戻る。様々な励起状態にある原子からのフォトンの放出によって一連の特徴的な輝線(水素原子の場合は、ライマン系列、バルマー系列、パッシェン系列、ブラケット系列など)を示す電磁スペクトルがもたらされる。 高励起状態にある原子はリュードベリ原子と呼ばれる。高度に励起された原子の系は寿命の長い凝集励起状態(例えば、完全に励起原子から構成される凝集相: リュードベリ物質)を形成できる。水素は熱または電気によっても励起されうる。
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