チャガン湖
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チャガン湖 | |
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Sentinel-2が撮影したチャガン湖(中央)。上部に見える丸い湖がチャガン湖の本体であり、その南のチャガン川(左)とアシュチス川(下)の合流点の氾濫原に貯水池が形成されている。右上の湖(ソル)はザナン湖
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位置 | 北緯49度56分7秒 東経79度0分30秒 / 北緯49.93528度 東経79.00833度座標: 北緯49度56分7秒 東経79度0分30秒 / 北緯49.93528度 東経79.00833度 |
流入河川 | チャガン川、アシュチス川 |
流出河川 | チャガン川(1965年まで) |
流域国 | カザフスタン |
南北長 | 0.45 km (0.28 mi)(クレーター湖のみ) |
最大幅 | 0.38 km (0.24 mi)(クレーター湖のみ) |
面積 | 5.2 km2 (2.0 sq mi) |
最大水深 | 約 100 m (330 ft) |
平均水深 | 49 m (161 ft) |
貯水量 | 0.0191立方キロメートル (0.0046 cu mi)[1] |
水面の標高 | 315 m (1,033 ft) |
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チャガン湖(カザフ語: Шаған、ロシア語: Чаган[2])は、カザフスタンのアバイ州にある湖である[3]。1965年のチャガン核実験によって形成されたものであり、セミパラチンスク核実験場跡の一部であるバラパン複合施設を構成している[4]。今なお放射性物質で汚染されており、原子の湖(カザフ語: Атом көлі)とも呼ばれる。
地理
この湖は、エルティシ川の南約90キロメートルの位置にあり、アバイ州の州都セメイ(旧名セミパラチンスク)の南西約110キロメートルに位置している。エルティシ川水系のチャガン川とその支流のアシュチス川の合流点の北にある[5]。1965年に核爆発で形成されたクレーターにチャガン川の流路を変更して水が引き込まれ、チャガン湖が形成された。その数年後、この湖の南の川の合流点に形成された貯水池の水位を制御するために、左岸にダムが建設された。この貯水池は、現在でも周辺の家畜のための水の供給に使用されている[6]。
歴史
この湖は、1965年1月15日にソビエト連邦の「国家経済のための核爆発」の一つとして、セミパラチンスク核実験場の一部であるバラパン複合施設にて行われたチャガン核実験により形成された穴に川の水が引き込まれてできたものである。チャガン川とアシュチス側の合流点付近の乾いた川床に掘られた深さ178メートルの穴に核出力140キロトンの核爆弾が設置された。この爆発により、直径400メートル、深さ100メートル、縁の高さが20から38メートルの円形のクレーターが形成された。その後、近くのチャガン川の流路を変更して水が引き込まれて湖となった。クレーター湖の貯水量は約1千万立方メートルである。クレーターの東の縁に、南の貯水池の水をせき止めるためのダムがある[1]。
湖の水は依然として放射性物質で汚染されており、水中の放射性核種は許容基準値の約100倍に達している[7][8](table 3)。当局から危険性が警告されているにも関わらず、地元住民はこの湖で漁を続けている[9]。
メディア
Netflixのドキュメンタリー番組『世界の"現実"旅行』(Dark Tourist)の第4回「中央アジア」(The Stans)において、デヴィッド・ファリアーがチャガン湖を訪れ、湖で泳いだり、湖で獲れた魚を食べたりしている。
脚注
- “On the Soviet program for peaceful uses of nuclear weapons”. Lawrence Livermore National Laboratory (2000年9月1日). 2016年12月23日時点のオリジナルよりアーカイブ。2025年7月4日閲覧。
- “On the Soviet nuclear program”. Nuclear Weapon Archive. 2025年7月4日閲覧。
- ^ a b Ayunov, D. E. et al. (July 2017). “Present thermal regime of Lake Atomic (Semipalatinsk test site)”. Russian Geology and Geophysics 58 (7): 864–867. Bibcode: 2017RuGG...58..864A. doi:10.1016/j.rgg.2017.06.009.
- ^ Trip on lake Atomic
- ^ Google Earth
- ^ Former Semipalatinsk nuclear test site - Tourism
- ^ “M-44 Topographic Chart (in Russian)”. 2024年4月15日閲覧。
- ^ The Soviet program for peaceful uses of nuclear explosions
- ^ “Lake Chagan, The Atomic Lake Filled With Radioactive Water” (英語). www.amusingplanet.com. 2023年3月23日閲覧。
- ^ Current Concentration of Artificial Radionuclides and Estimated Radiation Doses from Cs-137 around the Chernobyl Nuclear Power Plant, the Semipalatinsk Nuclear Testing Site, and in Nagasaki (measured concentration in stones)
- ^ “Семейдегі «Атом көлі» қараусыз жатыр” (カザフ語). Qazaqstan TV (2021年8月17日). 2021年12月17日時点のオリジナルよりアーカイブ。2021年12月17日閲覧。
関連項目
- セダン核実験 - アメリカ合衆国の核実験。アメリカ最大の人工クレーターが形成された。
- ペチョラ・カマ運河 - 建設に核爆発を使用する予定だった運河の計画
- カラチャイ湖 - 高レベル核廃棄物の投棄に使われ高度に汚染された旧ソ連の自然湖
外部リンク
- “チャガン湖の地図”. 2025年7月4日閲覧。
原子の湖
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「セミパラチンスク核実験場」の記事における「原子の湖」の解説
「チャガン湖」も参照 セミパラチンスク核実験場の近辺には、チャガン湖(Lake Chagan)という名称の人造湖が存在する。この人造湖は、旧ソビエト連邦が1965年に行った地下核実験(チャガン核実験)によって誕生した。核爆発によって大地を吹き飛ばして作った湖であるため、湖の周囲はカルデラ湖のような外輪山が存在する。また、湖とその付近は放射能汚染が激しく、2006年現在においても高線量の放射線が観測されている。 その成因および放射能汚染度の高さから、「原子の湖」(Atomic Lake)という別名がある。
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