卵割における決定
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/08/11 14:23 UTC 版)
「拘束 (生物学)」の記事における「卵割における決定」の解説
動物の胚発生では卵割が行われるが、それぞれ発生運命の定まった割球を生じる卵割を決定的卵割(けっていてきらんかつ、determinate cleavage)と呼ぶ。逆に、発生運命が定まらず、相互に発生能に違いのない割球を生じる卵割を非決定的卵割(ひけっていてきらんかつ、indeterminate cleavage)と呼ぶ。 ホヤなどでは極めて初期の卵割から決定的卵割が行われるのに対し、ウニなどでは、第三卵割から第六卵割にかけて各割球の発生運命が決定される。Conklin は胚発生の初期において、ホヤの卵のように予定運命の決定が早い段階で起こるものをモザイク卵 (mosaic egg)、ウニの卵のように発生運命が未決定で、各部が影響を及ぼしあいながら順次決まっていくものを調節卵(調整卵、regulative egg, regulation egg)と呼んだ。両者は対立する概念ではなく、その差異は割球の発生運命が決定する時期の差異であり、その区別は相対的なものである。調節卵におけるその時期のことをモザイク期 (mosaic stage)と呼ぶ。モザイク卵を持つ動物は有櫛動物、紐形動物、線形動物、環形動物、節足動物、軟体動物、尾索動物などで、調節卵を持つ動物は刺胞動物、紐形動物、棘皮動物、腸鰓類(半索動物)、脊椎動物などが挙げられる。ホヤや線虫では、決定的卵割を行う各割球の発生運命を決定する遺伝子が知られている。 ウニの2細胞期や4細胞期の胚は未決定であり、この時期の各割球を分けると、それぞれの割球は受精卵と同様に発生が進行し、完全なプルテウス幼生となる。それに対し、環形動物や軟体動物の4細胞期の胚は分割すると、それぞれの割球は完全な胚にならない。
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