剣を持った腕
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2020/09/05 02:20 UTC 版)
フィンランドとカレリアの王(1577年にフィンランド大公に改称)であったヨハン3世の時代に、ライオンは大公の紋章と密接に結びつけられた。大公の紋章はイェータ・ライオン(フォルクンガ・ライオンが原型)とカレリアの国章を組み合わせたものだと考えられている。この結果、ライオンは一本の腕で剣を掲げ、落ちている剣を踏みつけるというデザインになった。 一番良く知られている大公の紋章はウプサラ大聖堂にあるグスタフ1世の墓標に刻まれたものである。それはヨハン3世もしくは彼の異父兄のエリック14世が考案したと伝えられている。どちらが考案したかは正確には分かっていないが、エリック14世は紋章学に興味を持っていたことが知られている。 この墓標はフランドルの建築家・彫刻家で、スウェーデンでも活躍したギヨーム・ボイエンによって制作された。彼は1562年にアントワープで仕事にとりかかり、10年後には国王夫妻の彫像が完成したものの、彼の金銭問題が原因で、石棺は1583年までウプサラに運ばれなかった。完成したのは1591年の事である。墓碑にはスウェーデン国章とフィンランド国章に加え、南北フィンランド、タバスティア、カレリアなど11州の紋章が描かれている。ギョーム・ボイエンの仕事はとても素晴らしい物であったが、それは、ライオンがフランスの紋章において特徴的だったということが一因として考えられる。おそらく彼は国王の仕事を受ける前にライオンの紋章を多く作成していたと考えられるからである。 紋章には戴冠した金のライオンが剣を右前足で持ち掲げ、後ろ足でロシアのサーベルを踏みつけている様が描かれているが、これはグスタフ1世とヨハン3世がロシアとの戦いに苦闘していたと言うことを考えれば、特に驚くべき事ではない。ライオンの周りには、9個の薔薇がちりばめられている。これは単なる装飾であると考えられているが、フィンランドの歴史的な9つの州を表しているという仮説も存在する。
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