全能性の定義
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/09/17 06:48 UTC 版)
全能の逆説を論議する文脈での全能性には幾つかの意味がある。ホフマンによると、それは「いかなる事態でももたらしうる」力である(Hoffman)。しかし、その「事態」が含むものについては議論の対象になる。デカルトを初めとする哲学者はこの定義を引き継ぎ、論理的に不可能な出来事をもたらす能力も含めた。例えば有限の宇宙の中で立方体が形を失ったり、通常の数体系で1が2と等しくなったりすることは論理的に不可能である。全能者が形のない立方体を作ろうとすれば、それは可能であることが証明されようし、そのような全能者は論理法則に束縛されないことも証明されよう。トマス・アクィナスのような哲学者は全能者が全能であるためには、論理的に不可能なことを行う必要はないと主張している (Hoffman)。この場合、全能者は論理的に可能な全てのことをする力を持つ。この二つの考え方では全能性の限界が異なるので、全能の逆説を解こうと思うなら、両者を区別することが重要である。 全能性を特定の存在に適用する場合、複数の異なった方法がある。本質的に全能 essentially omnipotent な存在であるのか、偶発的に全能 accidentally omnipotent な存在であるのかである。前者は常に全能であるのに対し、後者は一時的に全能になり、その後全能ではなくなる存在である。全能の逆説は両者の間で異なって適用される (Hoffman)。
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