全盲者の臨死体験
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/03/30 02:19 UTC 版)
エリザベス・キューブラー=ロスにより、かつては盲目であった患者が臨死体験中に視力を取り戻し、体験中に病室などで起きた出来事を詳しく描写したという例が報告された。しかし、そうしたデータの再検証は不可能であった。医師であるラリー・ドッシーは自著「魂の再発見」の中で、同じくこのような患者がいたと証言しているが、こちらは実際には寄せ集めの情報で作った架空の人物であることがわかっている。初期の研究者であるデンバーの心臓医Fred Schoonmakerは、盲目の臨死体験者が「視た」事例が3件あったと述べているが、研究を正式に発表していない。「盲目の臨死体験者」は長い間にわたって都市伝説的な存在であった。 1994年から3年にわたり、研究者であるケネス・リングは目の不自由な臨死体験者約31人にインタビューをとり、回答者の80%が臨死体験中に視覚的な体験をしていた事を認めた。被験者のうち14名は生まれながらの全盲者であった。そうした全盲者は視覚野が発達していないため、目が治療されても直ちに見えるようになる訳ではない。5歳以前に失明した全盲の人は視覚イメージをたとえ夢の中でも一切持つことはなく、5歳以後に失明した全盲者の場合には視覚イメージはしばらく残るが、年と共に消えていく。ある体験者は、生涯で見る事の出来た瞬間は臨死体験の間だけだったと述べている。
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