先制的自衛権を肯定する見解
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/04/08 05:23 UTC 版)
「先制的自衛権」の記事における「先制的自衛権を肯定する見解」の解説
先制的自衛権を肯定する見解は上記国連憲章第51条中の「固有の権利」という文言をより重視し、国連憲章制定以前から国際慣習法上認められてきた国家の「固有の権利」に基づく自衛権行使は「武力攻撃が発生した場合」に限られたものではなかったとし、憲章第51条の「武力攻撃が発生した場合には」という文言も「武力攻撃が発生した場合に限って」自衛権行使を認める趣旨ではなく、憲章制定以前から認められてきた「固有の権利」を制限するものではないとする。このような立場からは、自衛権は国家の重大な権利であるためこれを制限するにあたっては限定的な解釈をすべきとされる。 19世紀以来の国際慣習法によれば自衛権行使が容認されるためには、他国による侵害が差し迫ったものであるという「急迫性」の要件と、なされた自衛措置が他国による侵害と釣り合いのとれたものでなければならないとする「均衡性」の要件が必要とされてきたが、これらの要件を満たした上で特定の攻撃が急迫していると信ずるに足りるだけの合理的理由があれば、他国による「武力攻撃が発生」していない段階でなされる先制的自衛措置も国際法上許容されると指摘する。 ただし、ある軍事行動を行った国が先制的自衛権行使を主張したとしても実際にそれが「急迫性」と「均衡性」を満たす正当な自衛権行使であるかどうかの判断は、最終的には先制的自衛権行使と主張する軍事行動をとった国が単独でするものではなく、国際的な判定に委ねられるべきものであるともいう。
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