偽証と軍事機密
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/05/05 00:12 UTC 版)
ドレフュスが無罪である可能性が高まり、有罪の根拠とされた証拠の信頼性についての疑問が取り沙汰されはじめると、軍部は、「国家の安危に関わる軍事機密情報」が含まれているとして、ドレフュス有罪の根拠とされる証拠類の開示を拒んだ。 しかし、ブリッソン元首相によって、「当時首相として証拠を詳しく確認したが軍部の主張するような機密情報などはどこにも含まれていなかったはず」との声明が出され、軍部の上記主張は根拠薄弱なものとなった。元首相に開示された証拠には、ドレフュス有罪の根拠となり得るものは一切含まれていなかった。そこには、そもそも機密情報というべきものすら存在せず、含まれている内容も甚だ信頼度が低いものばかりであった。 このように、軍事機密との主張が、実際には真実を隠蔽する口実に過ぎないことが明らかとなった。そればかりか、証拠の改竄や偽造まで行って軍部が冤罪を作り出していた疑いが発覚するといった思わぬ余波も生じた。自ら作り出した冤罪の不利な証拠を隠蔽するために、軍事機密との主張を濫用して権威の維持を画策した軍部は、その権威を大いに失墜させた。
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