倫理観が欠如している場合の問題
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/05/03 05:37 UTC 版)
「ファシリテーター」の記事における「倫理観が欠如している場合の問題」の解説
アメリカでは1960年代にすでに、Tグループなどの集団での体験学習・コミュニケーション技能訓練(ラボラトリー・トレーニング)の倫理性の基準の必要性が論じられた。中堀仁四郎は、「倫理基準はそれが本来の目的から外れて用いられないように、一定の基準に達しない技術の提供を禁止することを目的としている。」と述べている。 ベーシック・エンカウンター・グループの発展と同時代の1970-80年代に、グループ療法のゲシュタルト療法やTグループ、感受性訓練(ST)が、ネットワークビジネスなどの誤った目的で利用されて凶器と化し、日本でも社員教育・組織開発としての感受性訓練が1980年代に流行して社会的な問題となり、マインドコントロールという言葉が流行した。市場ニーズにファシリテーターの育成が追い付かず、倫理観に欠けたファシリテーターが暴走し、研修中の参加者に対する心理操作、個人の尊厳を危うくするような「しごき」的トレーニング、つるし上げ、暴力などの問題が起こり、参加者の心身を傷つけ、自殺者も出ている。 中原淳は、組織開発は、集団精神療法から手法を発展させているが、こうした人の心を扱う手法は本来訓練を受けたプロが行うものであり、組織開発はその成り立ちから、倫理観に欠けるファシリテーターが暴走した場合、グループダイナミクスを活用するセラピーの手法が悪用され、参加者に害を与える危険性を孕んでいることを指摘している。
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