例の再考
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2020/12/06 00:21 UTC 版)
ふたたび単位円の例に戻ろう。すなわち、定理において n = m = 1 および f(x, y) = x2 + y2 − 1 と置いた場合であり、ヤコビ行列は 1×2-行列 D f ( a , b ) = ( ∂ f ∂ x ( a , b ) ∂ f ∂ y ( a , b ) ) = ( 2 a 2 b ) {\displaystyle Df(a,b)={\begin{pmatrix}{\frac {\partial f}{\partial x}}(a,b)&{\frac {\partial f}{\partial y}}(a,b)\end{pmatrix}}={\begin{pmatrix}2a&2b\end{pmatrix}}} で与えられる。したがって定理に言う Y はここでは単に数 2b で、それが定める線型写像が正則であるための必要十分条件は b ≠ 0 である。ゆえに陰函数定理によれば、単位円は、y ≠ 0 なる任意の点に対して局所的に y = g(x) の形に書くことができる。しかし、既に上でも述べたが、点 (±1, 0) においては問題が生じる。陰函数定理はこれら二つの点においても適用することは未だ可能であるが、それは x を y の函数 x = h(y) と見てのことである。実際、そのグラフを (h(x), y) とすれば、b = 0 のとき a = 1 と取れるから、局所的にこの形の函数に表されるための条件は満足されている。 y の x に関する陰函数微分、および x の y に関する陰函数微分は、陰函数 x2 + y2 − 1 の全微分 を 0 に等しいと置いた 2 x d x + 2 y d y = 0 {\displaystyle 2x\,dx+2y\,dy=0} から求めることができる。すなわち、dy/dx = −x/y および dx/dy = −y/x が成り立つ。
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