二重母音および三重母音
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/03/23 02:37 UTC 版)
「古フランス語」の記事における「二重母音および三重母音」の解説
古フランス語後期の二重母音および三重母音 IPA単語の例語義下降二重母音口腔母音/aw/ chevaus 馬 /oj/ toit 屋根 /ow/ coup 打つ /ew/ ~ /øw/ neveu 甥 鼻母音/ẽj/ plein 満ちた(形容詞) /õj/ loing 遠い 上昇二重母音口腔母音/je/ pié 足 /ɥi/ fruit 果実 /we/ ~ /wø/ cuer 心 鼻母音/jẽ/ bien 良く(副詞) /ɥĩ/ juignet 7月 /wẽ/ cuens 伯爵 (nom. sg.) 三重母音強勢は常に中央の母音に置かれる口腔母音/e̯aw/ beaus 美しい /jew/ dieu 神 /wew/ jueu ユダヤ人 注: 古フランス語初期、つまり12世紀中ごろまでは、⟨ai⟩ は二重母音 /aj/ を表していたが、後に単母音 /ɛ/ を表すようになった。また ⟨ei⟩ は /ej/ を表したが、古フランス語後期には、鼻音化した場合をのぞいて、/oj/ に統合された。 表中で上昇二重母音とあるものは、古フランス語初期には下降二重母音であった可能性がある(表中の上からそれぞれ /ie̯/、/yj/、/ue̯/ であった)。古い詩の母音韻では、⟨ie⟩ と表記される二重母音はどのような単母音の組み合わせとも韻を踏まないことから、⟨ie⟩ が /je/ であったと素直に解することはできないようである。 ⟨ue⟩ および ⟨eu⟩ という表記の発音については諸説がある。古フランス語の初期には両者はそれぞれ /uo/、/ou/ を表し(ただし ⟨uo⟩、⟨ou⟩ と書かれることもあった)、中期フランス語期には /ø ~ œ/ に統合されていたが、その間の過渡期の発音についてはよくわかっていない。
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