予測と問題点
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2019/09/16 15:58 UTC 版)
競争排除則は、ロトカ=ヴォルテラの競争モデルなどの数学的、統計学的モデルによって予測されている。競争排除則を支持する知見として、ダーウィンフィンチの例などが挙げられることもある。 しかし、実際の生態系で競争排除則が観察されることはほとんどなく、生態学者の間ではこのモデルに懐疑的な声も上がっている。その最たる例が「プランクトンのパラドックス」(paradox of the plankton)である。これは、限られた資源しかない海中にプランクトンの多くの種が生息しているという状態をさしている。競争排除則に従うなら、資源の限られた海中では非常に限られた何種類かしか共存できないことになり、これは実際の海中で非常に多様なプランクトンが共存しているということと矛盾するというのである。 このような競争排除則の問題点を部分的に解消する方法として、前提条件の見直しなどが考えられる。例えば複数資源を巡る競争や時間的ラグなどによって、競争が防がれるという場合を考慮するなどということが挙げられる。複数の種が、利用できる複数の資源を巡って競争する場合、食い分けなどによって共存することが可能であるが、そのようなことを競争排除則に組み入れることによって、問題点を解消することが出来ると考えられる。 しかし、そのようなモデルはより解析しづらいものとなり、またその条件を考慮に入れると共存できる種数がほぼ無制限になる。そのため、安定的な共存を考慮に入れたモデルは、それもまた少数の種のみが同じニッチに生息している実際の生態系と矛盾する。
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