主体の変動
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/09/25 03:19 UTC 版)
前述したように、特許を受ける権利は移転することができる(特許法33条1項)。 特許出願前における特許を受ける権利の承継は、当事者間の契約のみによってその効力が発生する。ただし、その承継人が特許出願しなければ第三者に対抗することができない(特許法34条1項)。たとえば、発明者である甲が有していた特許を受ける権利αを乙に承継しても、乙が特許出願するまでの間は、第三者である丙との関係では、甲が特許を受ける権利αを有していることになる。そのため、丙は特許を受ける権利αの承継を甲から受けることもできる。この場合、特許を受ける権利αは乙と丙の両方に二重譲渡されたことになり、乙と丙のうち、先に特許出願をした者が、特許を受ける権利αの承継について他方に対抗することができる。 この規定は、土地の所有権移転は登記を第三者対抗要件としている民法177条の規定に対応する。 特許出願後における特許を受ける権利の承継は、相続その他の一般承継を除き、特許庁長官に届け出なければ、その効力が発生しない(特許法34条4項)。 特許を受ける権利は、移転できるが、質権の目的とすることはできない(特許法33条2項)。特許権とは異なり、特許を受ける権利には適切な公示手段がないため、取引の安全を害するからである。また、抵当権の目的とすることもできない。抵当権の目的とするには、抵当権の目的とすることができる旨の規定が積極的になければならないが、特許法には当該規定が存在しないからである。しかし、譲渡担保の目的とすることはできると解する。
※この「主体の変動」の解説は、「特許を受ける権利」の解説の一部です。
「主体の変動」を含む「特許を受ける権利」の記事については、「特許を受ける権利」の概要を参照ください。
- 主体の変動のページへのリンク