並びと年立
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2017/09/08 07:36 UTC 版)
詳細は「源氏物語年立」を参照 並びの巻は、年立と関係して論じられることがある。『河海抄』では、並びの巻が時間軸を遡って先行する巻と同じ時間の出来事を描いているのか、それとも時間軸に沿って先行する巻に続く時間の出来事を描いているのかによって並びの巻を「縦の並び」と「横の並び」に分類した。このような時間軸との関係に基づいて並びの巻を分類することは年立についての原初的な考察と密接に絡み合っており、『河海抄』のような考え方が生まれたのは並びの巻の前後において時間軸を遡った叙述があると考えると合理的に理解できる場合があるからだと考えられているが、『河海抄』以後年立についての考察がより緻密になるに従って「並び」とされていない巻においても先行する巻より時間軸を遡った叙述がしばしば見られることなどが明らかになってきたため、『河海抄』が唱えた「並びの巻」を「縦の並び」と「横の並び」に分ける方法論は有効性を失っていった。一条兼良による体系的な年立(旧年立)が確立してからは、「並び」と「年立」とは別々に論じられるようになり、旧年立を改めた新年立を確立した本居宣長に至っては「並びとは意味のないことである」とまでいわれるようになっている。
※この「並びと年立」の解説は、「本の巻・並びの巻」の解説の一部です。
「並びと年立」を含む「本の巻・並びの巻」の記事については、「本の巻・並びの巻」の概要を参照ください。
- 並びと年立のページへのリンク