ワニエ関数との関連
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/04/04 14:40 UTC 版)
ブロッホ関数は周期的結晶格子における電子状態を説明する。ブロッホ関数は次のフーリエ級数により表現される。 ψ m ( k , r ) = 1 N ∑ n a m ( R n , r ) e i k ⋅ R n {\displaystyle \psi _{m}({\boldsymbol {k}},{\boldsymbol {r}})={\frac {1}{\sqrt {N}}}\sum _{n}a_{m}({\boldsymbol {R}}_{n},{\boldsymbol {r}})e^{i{\boldsymbol {k}}\cdot {\boldsymbol {R}}_{n}}} ここで、 Rn は周期的結晶格子における原子サイト、 k はブロッホ波の波数ベクトル、 r は電子の位置座標、 m はバンド添字、そして N 個の原子サイトの総和を取るものとする。ブロッホ波は周期的結晶ポテンシャル中の電子についての、エネルギー固有値 Em(k) に対応する厳密解であり、結晶全体に広がっている。 フーリエ変換を用いて、複数のブロッホ関数から m 番目のエネルギーバンドに対応する空間的に局在した波動関数を構築することができる。 a m ( R n , r ) = 1 N ∑ k e i k ⋅ R n ψ m ( k , r ) = 1 N ∑ k e i k ⋅ R n {\displaystyle a_{m}({\boldsymbol {R}}_{n},{\boldsymbol {r}})={\frac {1}{\sqrt {N}}}\sum _{\boldsymbol {k}}{e^{i{\boldsymbol {k}}\cdot {\boldsymbol {R}}_{n}}\psi _{m}({\boldsymbol {k}},{\boldsymbol {r}})}={\frac {1}{\sqrt {N}}}\sum _{\boldsymbol {k}}e^{i{\boldsymbol {k}}\cdot {\boldsymbol {R}}_{n}}} この実空間上の関数 a m ( R n , r ) {\displaystyle {a_{m}({\boldsymbol {R}}_{n},{\boldsymbol {r}})}} はワニエ関数と呼ばれ、原子サイト Rn に強く局在している。もちろん、厳密なワニエ関数が求まれば逆フーリエ変換によりブロッホ関数も求まる。 しかし、ブロッホ関数もワニエ関数も、直接に計算するのは簡単ではない。固体の電子構造を計算するためには、何らかの近似を導入する必要がある。ここで、孤立原子極限を考えれば、ワニエ関数は原子軌道に一致するはずである。この極限からワニエ関数の近似として原子軌道が有効であろうことが示唆され、この近似を強結合近似と呼ぶ。
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