マルチレベル選択説
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/03/19 17:12 UTC 版)
群選択が理論的に起こらないか、現実では起こりにくいだけなのかが再検討されている。「種のための行動」のような考えを支えた、古典的な群選択は基本的には起こらないと考えられている。たとえ群れ間の競争で有利になれるとしても、群れの内部での競争の方が個体に対して強く働くため、真に利他的な形質は淘汰されるからである。しかし個体の移動がほとんど無い、突然変異がほとんど起きない、個体群の絶滅が頻繁に起きるなどの非常に限られた状況下であれば、古典的な群選択も理論的には起こりうる。 また、群れとは何かが再定義されている。群れをどのように定義するかによって、同じ生物を観察しても群選択が成立したりしなかったりするためである。一般的には相互に交配する集団(地域繁殖集団)が群れと見なされる。これをデームと呼ぶ。しかし実際には交配可能な集団の内部に、より小さな集団が存在することもある。このばあい、古典的な群選択はデーム間群選択と呼ばれる。これは上述したように限られた状態でしか起こらないと考えられている。デーム内の小集団の間で起きるデーム内群選択は血縁選択と同じものだと考えられている。
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