ポテトデキストロース寒天培地
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2025/04/27 01:35 UTC 版)

ポテトデキストロース寒天培地(Potato dextrose agar、BAM Media M127[1])とポテトデキストロース培地は、potato infusionとデキストロースから作られる一般的な微生物増殖培地である。ポテトデキストロース寒天培地(略称「PDA」)は、真菌や細菌の培養に最も広く使用されている培地である[2]。
PDAは土壌中に存在する様々な細菌や真菌を培養する能力を持つ。この寒天培地は、抗生物質や酸とともに使用することで、細菌・真菌の増殖を阻害することができる。PDAは食品業界において、食品を腐敗させる真菌の検査に使用される。また製薬業界では、薬剤に含まれる可能性のある抗真菌成分のスクリーニングにも使用されている[3]。
ポテトデキストロース寒天培地は細菌と真菌(酵母とカビ)のための用途の広い培地である。この寒天培地は幅広い種類の真菌に使用されるが、特定の種類の真菌により選択性の高い寒天培地もある。これらの寒天培地には、麦芽エキス寒天培地やサブロー寒天培地が含まれるが、これらに限定されない。麦芽エキス寒天培地はPDAよりも酸性が強く、アオカビの培養によく使用される[4]。サブロー寒天培地もpH5.6-6.0と弱酸性で、PDAに類似する。皮膚糸状菌などの病原性真菌の分離に最もよく使用される。
典型的な組成
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value 成分と条件 1000 mL 水 (茹でたジャガイモ200gを上記の水に入れる) ジャガイモ
(スライして洗って皮をむいていないもの)20 g デキストロース 20 g 寒天粉末 5.6±0.2 最終pH 25°C 温度
Potato infusionは、スライスした(洗って皮をむいていない)ジャガイモ200g(7.1 oz)を1L(0.22 imp gal; 0.26 US gal)の蒸留水で30分間煮た後、cheeseclothでデカントするか濾して作ることができる。懸濁液の総容量が1L(0.22 imp gal; 0.26 US gal)になるように蒸留水を加える。その後、20g(0.71 oz)のデキストロースと20g(00.71 oz)の寒天粉末を加え、培地を15pounds/inch(100kPa)で15分間オートクレーブ滅菌する[1]。
同様の培地であるポテトデキストロース培地(略称「PDB」)は、寒天を加えずにPDAと同様に調製されている[5]。PDBで培養できる一般的な微生物は、 Candida albicansや出芽酵母などの酵母、Aspergillus nigerなどのカビである[5]。
脚注
- ^ a b BAM Media M127: Potato Dextrose Agar from the U.S. Food and Drug Administration
- ^ Harold Eddleman, Ph. D (1998年2月). “Making Bacteria Media from Potato”. Indiana Biolab. disknet.com. 2011年7月16日時点のオリジナルよりアーカイブ。2011年3月4日閲覧。
- ^ Pitt & Hocking (2009). Fungi and food spoilage. Springer Science & Business Media. Bibcode: 2009ffs..book.....P
- ^ “Atlas of clinical fungi”. Centraalbureau voor Schimmelcultures (2). (2009).
- ^ a b “Potato Dextrose Broth”. Merck KGaA. 2006年5月16日時点のオリジナルよりアーカイブ。2005年5月29日閲覧。
参考文献
- Atlas, R.M.: Handbook of Microbiological Media, second edition. Lawrence C. Parks (1997)
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