ベール空間
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/10/28 14:45 UTC 版)
数学の位相空間論におけるベール空間(ベールくうかん、英: Baire space)は、直観的には非常の大きくてある種の極限操作を行うのに「十分多くの」点を持つような位相空間である。名称はこの概念を導入したルネ=ルイ・ベールに由来する。
動機
勝手な位相空間において、内点を持たない閉集合のクラスはちょうど稠密開集合の境界を成しており、これらの集合はある意味で「無視できる」。いくつか例を挙げれば、有限集合、平面内の滑らかな曲線、ユークリッド空間内の真のアフィン部分空間などがそれにあたる。位相空間がベール空間であるというのは、それが「十分大きい」こと、つまりは無視できる集合の可算個の合併になっていないことを意味する。例えば、三次元ユークリッド空間はその中の可算個のアフィン平面の合併になってはいない。
定義
ベール空間の詳しい定義は、主にその時々に支配的だった需要と観点に起因して、時代とともに少しずつ変化してきた。まずは、よくある現代的定義を述べ、そのあとベールが与えたオリジナルの定義により近い歴史的定義を挙げる。
現代的定義
位相空間がベール空間であるとは、内部が空であるような閉集合からなる任意の可算族の合併は必ず内部が空になるときに言う。
この定義は以下のように同値な条件で言い換えることもできる。
歴史的定義
ベールのオリジナルの定義では、範疇の概念が以下のように定義された。
位相空間 X の部分集合が、
- X において疎あるいは至る所疎 (nowhere dense) であるとは、その閉包の内部が空であることを言う。
- X において第一類 (first category) または痩せている (meagre) とは、それが可算個の疎集合の和になっていることを言う。
- X において第二類 (second category) または痩せていない (nonmeagre) とは、それが X において第一類でないことを言う。
これらの言葉でベール空間の定義を述べると次のようになる:「位相空間 X がベール空間となるのは、任意の空でない開集合が X において第二類であるときである」。この定義は先述の現代的定義と同値である。
X の部分集合 A が残留的 (residual, comeagre) であるとは、その補集合 X ∖ A が痩せていることを言う。位相空間 X がベール空間であるための必要十分条件は、X の任意の残留的部分空間が稠密になることである。
例
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