ブレンターノの「志向性」
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ブレンターノの志向性の概念はスコラ哲学に起源があり、ブレンターノは19世紀哲学に志向性の概念を再紹介したものと言える。ブレンターノはその著書「経験的立場からの心理学(Psychologie vom empirischen Standpunkt)」において、志向性とは意識のあらゆる活動、つまり心的現象の持つ特性であって、心的現象は志向性によって物質的・自然的現象から区別されると述べた。 全ての心的現象は中世のスコラ学者が対象の志向的(もしくは心的)内在性と呼んだものおよび、完全に明確ではないが、対象つまり内在的対象性と我々が呼ぶかもしれないものによって特徴づけられる。あらゆる心的現象は、必ずしも同じようにではないが、自身の内に対象として何者かを含む。表象においては何者かが表象され、判定においては何者かが肯定または否定され、愛においては愛され、嫌悪においては嫌われ、欲望においては欲望され、…というように。志向的内-在性は専ら心的現象が持つ特性である。物質的現象はこのような特性を示さない。したがって、心的現象はそれ自体の内に志向的に対象を有する現象だと定義できる。 ブレンターノは心的現象の存在論的様態を特異的に示すために「志向的内在性(独: Intentionale Inexistenz)」という言葉を造語した。「内-在性」の「内-」は処格として読まれるべきである、つまり、「志向された対象は[...] 内に存在するもしくは内在性を持つ、つまり、外的に存在するのではなく心理的状態として存在する (Jacquette 2004, p. 102)」とする研究者もいるが、他の研究者はより慎重で、「1874年においてこれが [...]何らかの存在論的なかかわりをもたらすかは明確でない (Chrudzimski and Smith 2004, p. 205)」としている。
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