ブラソフ方程式
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2018/09/09 19:28 UTC 版)
プラズマにおいてはそれを構成する荷電粒子間の相互作用は主として荷電粒子の集団運動に起因する電磁場の作用を通して働き、個々の粒子間の衝突の効果はそれに比べるとはるかに小さい。そこで運動論的方程式において右辺の衝突項を 0 とおき、かつ外力 F は粒子の集団運動による電磁場の作用を含むとした式がよい近似で成り立つ。 右辺を 0 と置いた運動論的方程式を無衝突ボルツマン方程式 (collisionless Boltzmann equation) と呼ぶ。そして荷電粒子の集団運動がつくる電磁場を速度分布関数から定める式と無衝突ボルツマン方程式とを連立させて得られる閉じた方程式系をブラソフ方程式 (Vlasov equation) と言う。典型的な例としてはプラズマ振動が挙げられる。ブラソフ方程式は1945年にプラズマ振動の議論を目的にブラソフ (A.A.Vlasov) によって初めて導入され、プラズマの性質をもっとも適切に表現する方程式として広く用いられている。ただし、流体方程式が最大3次元なのに対しブラソフ方程式は最大6次元となり、特に数値計算において扱いが難しくなるため、問題に応じて2流体方程式やMHD方程式等のより簡便な方程式も用いられている。 プラズマの基本的性質はブラソフ方程式で定まるが、一方でその結果に対して荷電粒子間の衝突がどのような補正を与えるかを調べるために、簡便な緩和型衝突項をはじめとする精粗さまざまな衝突項が提案され使われている。
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