フジウスタケ
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2025/03/16 00:47 UTC 版)
フジウスタケ | |||||||||||||||||||||||||||
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分類 | |||||||||||||||||||||||||||
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学名 | |||||||||||||||||||||||||||
Turbinellus fujisanensis (S. Imai) Giachini (2011)[1][2][3] | |||||||||||||||||||||||||||
シノニム | |||||||||||||||||||||||||||
和名 | |||||||||||||||||||||||||||
フジウスタケ |
フジウスタケ(富士臼茸[5]、学名: Turbinellus fujisanensis)は、ラッパタケ科ウスタケ属に属する中型から大型のキノコ。毒キノコの一つ。和名は、富士山に産することに由来するが、それ以外の場所でも普通に見られる[5]。
分布・生息地
日本と東アジアに分布する[1][2]。 外生菌根菌[5]。夏から秋にかけて、亜高山帯の主にモミ・ツガなどの針葉樹林に群生するが[1]、広葉樹との混生林や、林内道端の地上に発生する[5][2]。ときに菌輪をつくる[6]。
形態
子実体は、はじめ角笛形や円筒形で、後に中央が深く凹んだ深い漏斗形(ラッパ形)になり、高さ7 - 30センチメートル (cm) 、径5 - 10 cm[2][6]。傘の内面(上面)は肌色や薄紅色を帯びた黄土色から淡褐色で[5][6]、ウスタケ (Turbinellus floccosus) に比べると、全体に鮮やかな色を欠く[1]。漏斗状に深く凹んだ内側には、鱗片状のささくれ発達する[5][6]。傘下面(外側)は深い縦皺のヒダがあり、長く柄に垂生する[5]。ヒダがある子実層面は白っぽいクリーム色だが、のちに黄肉桂色をなり、シワ状から脈状である[1]。傘の表面や肉にグアヤクチンキをつけると緑色に変色する[1]。肉は薄く、白色を帯びる[2]。はじめ心地よいキノコの匂いがあるが、時間が経つとツンとくる刺激臭に変わる[6]。
子実体を構成する菌糸は一菌糸型で、菌糸はクランプを欠く[2]。担子胞子は楕円形で、大きさは9.5 - 12 × 5 - 6.5マイクロメートル (μm) 、非アミロイド性[2]。胞子紋はクリーム色[2]。
近年の研究では、よく似た複数の種から成り立つことが判明している[5]。近縁のウスタケは亜高山帯に分布し、色は赤みが強い[5]。ウスタケの傘の表面や肉にグアヤクチンキ[注 1]をつけると反応しないか、非常に弱く緑変する[1]。
毒性
有毒キノコであり、食べると腹痛、下痢、嘔吐などの胃腸系の中毒症状が現れる[1][6]。毒成分については未だ解明されていない[6]。地方によって煮こぼせば食べられるともいわれるが、毒成分が残留することによって食中毒の可能性があるため十分な注意が必要である[1][6]。
脚注
注釈
出典
- ^ a b c d e f g h i 今関六也・大谷吉雄・本郷次雄 編著 2011, p. 405
- ^ a b c d e f g h 前川二太郎 編著 2021, p. 324.
- ^ a b c d e “Turbinellus fujisanensis”. MYCOBANK Database. 国際菌学協会 (IMA) とウェスターダイク菌類生物多様性研究所. 2025年3月16日閲覧。
- ^ “フジウスタケ”. 京都府ホームページ. 京都府. 2024年11月2日閲覧。
- ^ a b c d e f g h i 秋山弘之 2024, p. 39.
- ^ a b c d e f g h 長沢栄史 監修 2009, p. 213.
参考文献
- 秋山弘之『知りたい会いたい 色と形ですぐわかる 身近なキノコ図鑑』家の光協会、2024年9月20日。ISBN 978-4-259-56812-2。
- 今関六也・大谷吉雄・本郷次雄 編著『日本のきのこ』(増補改訂新版)山と渓谷社〈山渓カラー名鑑〉、2011年12月25日。 ISBN 978-4-635-09044-5。
- 長沢栄史 監修、Gakken 編『日本の毒きのこ』Gakken〈増補改訂フィールドベスト図鑑 13〉、2009年9月28日。 ISBN 978-4-05-404263-6。
- 前川二太郎 編著『新分類 キノコ図鑑:スタンダード版』北隆館、2021年7月10日。 ISBN 978-4-8326-0747-7。
フジウスタケと同じ種類の言葉
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