コバマングース属
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出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2018/11/29 08:28 UTC 版)
ナビゲーションに移動 検索に移動コバマングース属 | |||||||||||||||||||||
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分類 | |||||||||||||||||||||
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学名 | |||||||||||||||||||||
Eupleres Doyère, 1835 | |||||||||||||||||||||
和名 | |||||||||||||||||||||
コバマングース属[1][2] | |||||||||||||||||||||
コバマングース属(コバマングースぞく、Eupleres)は、哺乳綱食肉目マダガスカルマングース科に分類される属。
分布
形態
体長48 - 56センチメートル[3][4]。尾長22 - 26センチメートル[3]。体重2 - 4.5キログラム[3]。鼻面は細長く尖る[3][4]。柔らかい体毛で密に被われる[2]。尾の体毛はやや長く[3]、先端では房状[2]。背面は褐色、腹面は灰白色[3][4]。眼上部と吻端は白い[2]。
歯は小型かつ円錐状で[3]、和名(コバ=小歯)の由来になっている[2]。前肢よりも後肢の方が長い[2]。第1指および第1趾も含めた指趾は、5本がほぼ揃って並ぶ[2]。属名Eupleresは古代ギリシャ語で「完全に揃った」の意で、指趾に由来する[2]。爪は長く湾曲し、引っ込めることができない[2][3]。肛門周辺(肛門腺)や生殖器周辺(会陰腺)に臭腺がない[2][4]。
出産直後の幼獣は体長15センチメートル、体重150グラム[2]。全身が体毛で被われ、眼が開いている[3]。乳首の数は1対[2]。
分類
以前はコバマングース(ファラノーク)E. goudotiiのみで本属を構成し、E. g. goudotiiとE. g. majorの2亜種に分類されていた[2]。
- Eupleres goudotii Doyère, 1835 Eastern falanouc, Fanalouc
- マダガスカル東部、中西部[2]
- 体長46 - 50センチメートル[2]。尾長22 - 24センチメートル[2]。体重2 - 2.3キログラム[2]。背面は淡黄褐色で、腹面は淡色[2]。
- Eupleres major Lavauden, 1929 Western falanouc
- マダガスカル北西部[2]
- 体長52 - 65センチメートル[2]。尾長24 - 25センチメートル[2]。体重2.8 - 4.6キログラム[2]。オスは褐色、メスは灰色[2]。
生態
低地にある湿潤林に生息するが[2][4]、やや乾燥した落葉樹林で発見された例もある[3]。地表棲だが[4]、樹上に登ることもある[2]。薄暮性ないし夜行性で、昼間は岩の隙間や地中の穴などで休む[2][3]。単独もしくは家族群を形成し生活する[2]。跳躍するように歩行する[2]。歩行する時に指趾を接地しない[3]。秋季に800グラムの皮下脂肪を尾の基部に貯蔵する[2][3]。冬季は休眠すると考えられている[2]。一方で冬季でも活動する個体が発見された例もある[2][3]。
主に昆虫を食べるが、鳥類やその卵、ナメクジ類、ミミズなども食べ、小型哺乳類やカエル、果実なども食べると考えられている[3]。爪を使って地面を掘り起こし、獲物を捕食する[3]。
繁殖様式は胎生。繁殖期にはペアを形成するが[4]、短期間で解消する[3]。7 - 8月に交尾を行う[2][3]。妊娠期間は3か月[2]。11月に1回に1 - 2頭の幼獣を産む[2][3]。授乳期間は9週間[3]。生後60日で固形物も食べることができるようになる[2]。飼育下では幼獣は生後2日で母親の後を移動するようになった例がある[4]。
人間との関係
森林伐採や灌漑による生息地の破壊、食用の狩猟、人為的に移入されたジャコウネコ類との競合、イヌによる捕食などにより生息数は減少している[3]。
- E. goudotii
- VULNERABLE (IUCN Red List Ver. 3.1 (2001))[5]
- E. major
- ENDANGERED (IUCN Red List Ver. 3.1 (2001))[6]
出典
- ^ 川田伸一郎, 岩佐真宏, 福井大, 新宅勇太, 天野雅男, 下稲葉さやか, 樽創, 姉崎智子, 横畑泰志 「世界哺乳類標準和名目録」『哺乳類科学』58巻 別冊、日本哺乳類学会、2018年、1-53頁。
- ^ a b c d e f g h i j k l m n o p q r s t u v w x y z aa ab ac ad ae af ag ah ai aj 祖谷勝紀・伊東員義 「ジャコウネコ科の分類」『世界の動物 分類と飼育2 (食肉目)』今泉吉典監修、東京動物園協会、1991年、78-118頁。
- ^ a b c d e f g h i j k l m n o p q r s t u v w 小原秀雄 「ファラノーク(コバマングース)」『動物世界遺産 レッド・データ・アニマルズ8 太平洋、インド洋』小原秀雄・浦本昌紀・太田英利・松井正文編著、講談社、2001年、162頁。
- ^ a b c d e f g h i Chiris Wemmer 「ジャコウネコとジェネット」「コバマングース」古屋義男訳『動物大百科 1 食肉類』今泉吉典監修 D.W.マクドナルド編、平凡社、1986年、152-159,161頁。
- ^ Hawkins, F. 2016. Eupleres goudotii. The IUCN Red List of Threatened Species 2016: e.T68336601A45204582. doi:10.2305/IUCN.UK.2016-1.RLTS.T68336601A45204582.en, Downloaded on 08 March 2018.
- ^ Hawkins, F. 2016. Eupleres major. The IUCN Red List of Threatened Species 2016: e.T39547A45204313. doi:10.2305/IUCN.UK.2016-1.RLTS.T39547A45204313.en, Downloaded on 08 March 2018.
関連項目
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