ファヌム
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/03/22 00:44 UTC 版)
古代ローマ人は、神殿のない信仰の場(例えば、早くからの信仰の場だった「ディアナ・ネモレンシス(ネーミのディアナ)の木立ち」など)や国教である本来の伝統的なペイガニズムにない異教の神を祭る神殿などをラテン語で「神聖な領域」を意味するファヌム (fanum) と呼んだ。 ラテン語の形容詞 fanaticus は英語の fanatic(狂信的な)に対応するが、これは信心深く伝統を重んじるローマ人が様々な外来の宗教慣習を指して批判的に使った言葉である。それにもかかわらずローマ帝国では主に被征服民の信仰がいくつか取り入れられた。例えば、ペルシャのミトラ教や古代エジプトの地母神イシスとセラピス(セラピスのファヌムは特にセラペウムと呼ばれた)への信仰などがあり、大いに流行した。カンプス・マルティウスに建てられたイシスとセラピスの神殿は、エジプト産の建材を使ったエジプト風の神殿になっており、エジプトの神であるイシスをヘレニズムの様式で祭るというローマ帝国期によく見られる異類混交の信仰の場だった。 ファヌムという言葉はローマの地名にも使われた。例えば、ファヌム・ヴォルトゥムナエ(現在のヴィテルボかモンテフィアスコーネ)、ファヌム・フォルトゥナエ(現在のファーノ)などがある。 原始キリスト教とキリスト教がローマ帝国によって公式に国教とされた後、ファヌムもローマのペイガニズムと共に事実上排除されることになった。
※この「ファヌム」の解説は、「古代ローマの神殿」の解説の一部です。
「ファヌム」を含む「古代ローマの神殿」の記事については、「古代ローマの神殿」の概要を参照ください。
- ファヌムのページへのリンク