ヒトゲノムの倫理(ひとげのむのりんり)
ゲノム解読により、遺伝子と病気との関係も分ってきた。例えばそううつ病、難聴、ダウン症に関する遺伝子は21番染色体にある。
糖尿病や高血圧などの生活習慣病は、3割以上が遺伝要素で決まる、と考える学者もいる。つまり自分がどんな病気にかかりやすいのかは、ゲノムから予測できるようになったのである。
さて、ゲノム解析は予防医療に役立つ一方、「個人のプライバシー」という点では大きな問題が残っている。
実際、ゲノム先進国のアメリカでは遺伝子差別が生じていて、社会問題になっている。たとえば「ある難病にかかりやすい遺伝子だから」という理由で会社を解雇されたケースもある。
他に、脂肪の蓄えやすさなども遺伝子が関係している。しかしこういう個人情報は他人には知られたくないプライバシーである。
遺伝情報は「究極の個人情報」である。遺伝情報によって個人が差別されることは許されない。どのように個人情報を保護していくのか、ポストゲノム時代の新たな課題である。
(2000.08.17更新)
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