ヒッタイト神話との類似
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/08 04:52 UTC 版)
「テューポーン」の記事における「ヒッタイト神話との類似」の解説
こうしたギリシア神話の王権争奪神話およびゼウスとテューポーンの闘争は、フルリ人の影響を強く受けたヒッタイト神話と多くの類似点が認められる。ヒッタイト神話では4代にわたる王権争奪神話が語られている。 まず、天空の最高神アラルは天空神アヌに敗れて逃亡する。その9年後、今度はアヌ神に叛旗を翻した我が子クマルビ(英語版)が父神の男性器を噛みちぎって去勢する。その際、クマルビは呑み込んだ物によって3柱ないし5柱の怖ろしい神を身籠るであろうとアヌは予言した。これを聴いてクマルビは吐き出そうとするが、しかし、クマルビの体内ではすでに天候神テシュブ(英語版)が成長している。やがて生まれたテシュブはクマルビと戦って打ち負かし、廃位させる。王権を奪われたクマルビは巨岩との間に巨人ウルリクムミを儲け、海で秘密裡に育てて復讐しようとする。神々はウルリクムミの巨大な姿に恐怖するが、エア神の助言により、天地を切り離した鋸でウルリクムミの足を切断した。 ヒッタイト神話の天空神アラルに相当する神はギリシア神話には見当たらないが、反旗を翻した我が子クマルビに去勢されるアヌは反旗を翻した我が子クロノスに去勢されるウーラノスと、アヌに叛乱を起こすクマルビはウーラノスに叛乱を起こすクロノスと、クマルビに叛乱を起こすテシュブはクロノスに叛乱を起こすゼウスと、神々を脅かす巨人ウルリクムミは神々を脅かす巨人テューポーンと、それぞれに対応している。また、この物語に登場するハジ山はカシオス山(英語版)のことである。しかしながら、ヒッタイト神話がどのようにしてギリシアに伝わったかは今のところ不明である。
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