パワーバック
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2018/05/17 03:08 UTC 版)
パワーバック(英語: Powerback)は航空機がジェットエンジンを逆噴射、あるいはプロペラを逆回転させて自力で後退することである。
概要

パワーバックはトーイングカーに頼らずとも航空機単体で後退できるというメリットがあり、多くの航空機[1]は構造上パワーバックが可能である一方、安全面やコスト面などにおいて様々なデメリットがあるため、現在では限られた空港・航空会社(アメリカの一部の地方空港やカナリア諸島の空港[2]など)のみで行われている。(原則的には不可能であるものの、特別な許可の下でパワーバックが可能な空港もある[3]。)
ターミナル近辺にはコンテナや車両、地上職員が多く存在しており、これらをエンジンが吸い込むことで死傷者が出たり機体・エンジンに損傷が及ぶ危険性がある。 また、逆推力装置の動作には多くの燃料が必要であるためパワーバックは経済的な運航には向いていない[4]。
脚注
- ^ 逆推力装置を備えない一部の戦闘機などでは構造的にも不可能である。
- ^ エアライン 2014年8月号 P.154
- ^ OSI 019-14 Aircraft Power Back Procedures - ロンドン・ルートン空港の運用の手引き
- ^ 近年の大型機に多く用いられている高バイパス比のターボファンエンジンでは全ての推力が後方に向かうわけではなく約50%程度のみが後方への推力となる。
関連項目
- エア・フロリダ90便墜落事故 - パワーバックによって雪や氷が機体に付着したことで発生した航空事故
- プッシュバック
- 逆噴射
外部リンク
- AIRCRAFT POWER BACK - YouTube - DC-9がパワーバックする様子の映像。後退中に逆推力装置が作動しているのが確認できる。
パワーバック
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/14 23:59 UTC 版)
「エア・フロリダ90便墜落事故」の記事における「パワーバック」の解説
ボーディング・ブリッジから離れようとした際、タグ(牽引車)がスリップして動けなかったため、乗員はエンジンを逆噴射してパワーバックで後退しようとした。しかし、30 - 90秒間にわたり逆噴射を行ったが機体は動かず、また、地上業務を代行していたアメリカン航空の規定では、後退時に逆噴射を行うことが禁止されていることをタグのオペレータから告げられ、逆噴射の続行を断念、タグをタイヤチェーン付きのものに取り替えてようやく後退することに成功した。しかし、この逆噴射操作は雪や氷、水を巻き上げ、90便の機体のあちこちに付着させることとなった。
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