バンド理論における金属
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/05/05 01:16 UTC 版)
原子中の電子が取りうるエネルギーのレベルは、複数の原子が存在する状態下ではおのおのが重ならない電子軌道を取る。量子力学が要請するこの分裂によって生じる軌道は、金属においてアボガドロ数程度の原子が存在する状況ではエネルギーが低いところから順々に埋められ、最も高いエネルギー(フェルミエネルギー)を持つ電子が球状のフェルミ面を形成し、全体として定まった幅を持つ。これは「バンド構造」と呼ばれる(バンド理論)。このバンドには物質によっては電子が軌道を取りえない断絶したエネルギー領域(バンドギャップ、禁制帯)があり、電子が取りうる最大のエネルギー領域がこのバンドギャップ部分にあると、電子軌道はギャップよりも低く原子核に束縛される バンド領域(価電子帯、バレンスバンド)に詰まってしまい、電流は流れない。しかし金属にはこのバンドギャップが無いため、電子は自由に動くことができ、電流が流れる。 半導体は、このバンドギャップが1eV前後であるため、光や熱のエネルギーを加えることで電子の一部をバンドギャップよりもエネルギー位置が高いところにある伝導帯(コンダクションバンド)まで引き上げることができ、結果通電するようになる物質である。
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