ハンカチ‐の‐き【ハンカチの木】
ハンカチノキ
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出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2025/05/04 05:26 UTC 版)
ハンカチノキ(クロンキスト体系) | ||||||||||||||||||||||||
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ハンカチノキ
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分類 | ||||||||||||||||||||||||
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学名 | ||||||||||||||||||||||||
Davidia ivolucrata Baillon |
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和名 | ||||||||||||||||||||||||
ハンカチノキ |

ハンカチノキ(学名:Davidia involucrata)はミズキ科(分類体系よって異なる。下記参照)の落葉高木。中国原産で四川省・貴州省・湖北省西部・雲南省北部の1500m-2200mに分布している。中国では「珙桐」(大きな桐の木)や「鴿子樹」(鳩の木)と呼ばれ、国家一級保護植物に指定されている[1][2]。属名のダビディア (Davidia) で呼ばれることも多い。 花についた白い大きな2枚の苞葉が垂れ下がりよく目立つため、日本では「ハンカチの木」や「幽霊の木」などと呼ばれる。英語では"Handkerchief tree"、"Ghost tree"、"Dove tree"(鳩の木)、"Pocket handkerchief tree(ポケットハンカチツリー)"などという[3]。
特徴
葉は互生、楕円形または卵形、長い葉柄を持つ(葉身の1/3から等長ぐらい)。先端は尾状に伸び、葉脚は心臓形に凹む。縁には鋸歯がある。表面は光沢を持たない、葉柄と裏側の葉脈に柔らかい毛が生えている(時間につれて少なくなる)。裏側は少し灰白色っぽい。ほとんど匂いはしないが、潰すと、普通の草の匂いがする。味は草の味と少しの苦味がする。 花はハナミズキのような頭状花序になり、2枚の苞葉(ハナミズキの場合は4枚)に囲まれる。果実は堅果で複合果となる。 春に花を咲かせ、秋に実をつける[3]。
分類
新エングラー体系では1属1種のハンカチノキ科(ダビディア科:Davidiaceae)としていた。クロンキスト体系ではミズキ科に入れていた。新しいAPG植物分類体系では当初ヌマミズキ科に入れていたが、APG III(2009年版)以降はヌマミズキ科をミズキ科に含めている。
フランス出身の神父・生物学者であるアルマン・ダヴィッド (Armand David) が1869年に四川省の穆坪(現在の宝興)で発見し、初めて報告したため、彼の名にちなんで属名はダビディア(Davidia)と命名された[1]。
関連文化
「第3紀の植物」、「生きた化石」ともいわれ、20世紀初めには、多くのプラントハンターがこの木を求めて辺境まで採取に行った[1]。イギリス人のオーガスティン・ヘンリーやアーネスト・ヘンリー・ウィルソンの持ち帰った種子は、アメリカやイギリスで栽植され、現在では多くの国で栽培されている[2][4]。
東京都文京区には小石川植物園 [5]、礫川公園、寂円寺にハンカチノキがある。礫川公園のものは小石川植物園の技官山中寅文から、作家幸田文に贈られた木を、彼女の死後に娘の青木玉が公園に寄贈したもの。
東京都練馬区には「土支田ハンカチの木緑地」があり、緑地中央にハンカチノキが植えられている[6]。
西東京市のマスコットキャラクター「いこいーな」は「西東京いこいの森公園」をモチーフにしており、園内にある「ハンカチの木」の花を帽子につけている[7]。
福島県では、1993年に完成した郡山市のフロンティア通りの街路樹としてケヤキ、ヤマボウシ、ハンカチノキが植栽された[8]。2025年4月には、福島市庭坂の福島植物園で、苗木を植えてから30年で初めて花を咲かせた[9]。
宮城県では、東北学院大学各キャンパス内に植樹されている[10][11]。
脚注
- ^ a b c 荻巣樹徳 (1988-08). 日本花卉園芸協会. ed. “中国四川の植物”. 新花卉 (タキイ種苗出版部) (139): 102-104. doi:10.11501/1781488.
- ^ a b 上原敬二 (1959). 樹木大図説 第3. 有明書房. p. 407-408
- ^ a b “Davidia involucrata”. RHS. 2025年4月30日閲覧。
- ^ “E. H. Wilson’s search for Davidia involucrata” (英語). Harvard University (2018年11月27日). 2025年5月1日閲覧。
- ^ , 小石川植物園「園内案内」の14, "ハンカチノキは中国中部と西南部だけに自生する中国固有植物で、海抜2000mほどの山地の湿った日当たりのよい斜面などに生息している。欧米では園芸植物として昔から有名であり、庭木、街路樹として植えられている。ハンカチノキの名前のもととなった二枚の白いものは花を飾る特殊化した葉であり、植物学的には苞と呼ばれる。その下(内側)にある球状のものは花弁のない小さな花の集まり(花序)である。雄花だけからなる雄花序は花粉を散らした後に苞とともに地面に落ちるが、一個の雌花のまわりを多数の雄花が取り囲んでいる両性の花序は受粉して果実をつける。花序がこのような特殊な構造をしているためにミズキ科やヌマミズキ科に入れられることもあれば、ただ一種でハンカチノキ科(ダヴィディア科)がつくられることもある。"
- ^ 練馬区立都市公園条例(1958年、別表の土支田ハンカチの木緑地)
- ^ “「いこいーな」誕生まで”. 西東京市 (2013年7月10日). 2025年4月30日閲覧。
- ^ “郡山市 フロンティア通り――車社会に対応、人通りも戻った /”. 財界ふくしま (財界21) 22 (8). (1993-07). doi:10.11501/2832734.
- ^ “30年前に輸入、一度も咲いたことがなかったのに...「ハンカチの木」見頃に”. 福島民友 (2025年4月30日). 2025年4月30日閲覧。
- ^ “ハンカチノキ 5月の薫風にそよぐ”. 東北学園大学 (2012年5月16日). 2025年4月30日閲覧。
- ^ “ハンカチノキ 咲き始め”. 東北学園大学 (2017年5月6日). 2025年4月30日閲覧。
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