ドロップ・ロック
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/11 14:52 UTC 版)
ドロップ・ロック(drop lock、「降下閘門」)は、高さの低い橋のような障害物の下を船が通過する間だけ運河の短い区間の水位を下げておくような目的で使われる。使われていなかった運河を修復する際に、運河が使われなくなってから建設された構造物を取り除いたり持ち上げたりすることが不可能であったり高くついたりして、かつ運河の経路変更が不可能なような場合には、ドロップ・ロックを使うことに検討の余地がある。 ドロップ・ロックは2つの通常型閘門を、排水池側を下にして配置したものか、あるいは1つの長い排水池を備えた閘室を持った閘門で構成されている。正式には後者の方がドロップ・ロックである。ドロップ・ロックの両端は同じ水位なので、この閘門の中の水を抜くためには閘室内から水をより下流の川や運河へ流しだしてしまう他ない。あるいはより水の消費を少なくするためには、汲み上げて元の運河に戻す必要がある。2つの閘門を持った方式では、バイパス排水管を造って遮られている区間を迂回して水を流し、より下流の閘門に水を供給できるようにする必要がある。単一閘門タイプでは、閘門内を水で満たして、使わない間は閘門扉を開けたままにしておくことでこれを実現できる。 多くの場所でドロップ・ロックの考えが提唱されてきたが、世界で唯一実際に建設されたドロップ・ロックはスコットランドのフォース・アンド・クライト運河 (Forth and Clyde Canal) のダルムア (Dalmuir) にあるものである。この単独閘門タイプのドロップ・ロックは運河の修復に際して、交通量の多い道路にあった跳ね橋が頻繁に使われて交通を妨害するという批判に応えて、跳ね橋を固定橋に取り替えることを可能にするために導入された。閘門の排水はポンプで行うことができるが、かなりの電気を使うので、水の供給量が十分な時は近くの川に水を流しだすことで排水している。このページでドロップ・ロックの操作の様子の一連の写真を見ることができる。同じようなものが、ドロイトウィッチ運河 (Droitwich Canal) の一部区間の復旧に際して建設される予定である。
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