ディフラクティブイメージング
試料から得た回折図形をフーリエ変換して試料の実像を取得し、元の試料と合わない部分を修正してフーリエ変換して回折図形を得る。実験値と不一致の回折強度を修正して再びフーリエ変換して実像を得る。この操作を繰り返して試料の真の構造像に至る手法。回折図形を取得する際、試料外形の2倍以上の領域にビームを照射する(オーバーサンプリング条件)。具体的にはある試料領域から得られた回折図形の強度の平方根を取って回折振幅とし、ランダムな初期位相を与えてフーリエ変換する。得られた像は試料外形を超える領域にも構造を示す。試料外形より少し大きな領域(サポートと呼ぶ)を規定し、サポートを超えた領域の強度を0とおいて、これをフーリエ変換して回折図形を得る。得られた回折図形の回折振幅を実験値に置き換え、再びフーリエ変換して像を得る。このような操作を繰り返すことで徐々に正しい位相を回復して、真の試料構造像が得られる。正しい位相が回復されるまでの反復回数は、回折図形に含まれるノイズ、サポート形状などが影響する。原理的には、試料構造像の分解能は取得する回折図形の回折角で決まり、レンズ収差の影響を受けないので、レンズを使った高分解能像より高分解能な試料構造像(振幅像と位相像)が得られる可能性がある。また結晶に限らず、単一分子など非周期構造の試料にも適用できる。カーボンナノチューブなどに応用され0.1nm程度の分解能が得られている。
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